2009年 01月 05日
とにかくベストを尽くそう |
先の年始のご挨拶の中ではさりげなく書いたけれど、肺高血圧症というのは現代におけるかなりの難病のうちのひとつだ。なかでもPrimaryもしくはIdiopathicと呼ばれるいわゆる原発性のものは原因もいまだによくわからず、従って治療方法も発展途上。身内にそういうケースがあった場合、みなさんはどう対処されるだろう?
もやもや病については、これも進行性の難病で治癒がないと言われる病気だけれど、小児発症の場合は適切なバイパス手術をすれば、その予後はそんなに悪くないという経験的なデータの蓄積があり、うちの場合は幸いそれを実感できている。
でも肺高血圧は今でもまったく楽観できる病気ではない。
ロレンツォ(ロレンゾ)のオイル/命の詩という、実話に基づいた映画がある。当時治療法がまったくなかった副腎白質ジストロフィーという難病を背負った息子のために、理系科目にはもともとまったくの素人である両親が新たな治療法を追い求め、研究し、患者と健常者との間の脂肪酸代謝機能の差から導かれたアイデアの元、ある種の油を精製して飲ませると、奇跡的に病状が好転し、その後医療従事者の間でもこの病気の治療法として使われることになったという話である。ただし実際には、誰にでも効くというわけではなかった。
肺高血圧という病気にロレンツォのオイルはあるのか?曲がりなりにも医薬品業界に20年近く関わってきた身としては、当然こういうunmet needsに対して何かできないかと考える。しかも難病の患者は自分の子供である。現在自分が勤める会社の事業領域と合わないとすれば、方法としては転職してその領域に力を入れている会社に加わるか、自分で起こすかということになる。でも効果が実証されている既存の医療は継続したい。そのためには雇用主経由で加入している現在の保険を解約することはあまりにもリスキーだ。みなさんが同様な立場にあったとしたらどうされるだろう?
難病ではあるけれど、多くの方々のいろいろな研究の成果で、ここ10年ほどの間に新しい治療薬がいくつも開発されていて、治療成績は格段に改善してきている。ただし各種の検査(むしろこちらの方が高額だったりする)を含めてその恩恵を受けるために必須なのが医療保険である。こういった患者数が少ない難病というのは、新しい治療薬(治療法)に対するニーズは高いものの、製薬企業にとっての経済的インセンティブは小さい。従って治療は相当な高額にならざるを得ない。そこをカバーしてくれるのが、言うまでもなく保険なのである。保険のおかげで、おそらく現時点で得られる限りの医療サービスを享受させていただいていると思う。日本でも難病指定とかだと医療費が軽減されるようだが、こちらでも同様なことはあって、一律に何割負担とかではなくなり、かなりの部分がカバーされるようになる。
しかしアメリカの場合、個人で質のいい医療保険に加入するためにはとんでもない費用がかかるし、こういった既往症を持った上で現在の保険を解約して新たな保険に加入するのはかなり難しいかも知れないという現実もある。
そういうわけでうちが実際に行っているのは、Stanfordの心臓チームの勧めに沿った治療を受けることと、仕事の合間に自分でできる文献等の調査だけだ。肺高血圧の治療薬開発に注力している製薬企業は限られている。それらの会社の動向をモニターすること、関連する医療関係のMLに登録し、ニュースをチェックし、定期的にキーワードで文献検索をすることなど。すでに認可された治療薬の臨床成績をチェックし、現在開発中の新しい治療薬の論文などを集めて将来の実用化に期待すること。
妻の勧めもあり、年末に日本で東洋医学系の先生にも指南を受けた。これでできることは全部やっているのか?他に何かあるのか?ないのか?人生には、学校で教えてくれないことが本当にたくさんある。
2週間余りも休暇を取り、日本のおいしい食事を堪能しながら本も少し読み、上記に加えて3月のSVバイオツアーについて、会社での仕事についてなど、いろいろなことを考えた。実は今まで、休暇後に学校や仕事に戻るのっていやいやなことが多かったので、休暇で充電できたとかいう人たちの気持ちがあまりわからなかった。
でも今回は全体にゆったりした日程だったこともあってか、何か充電みたいなことができた気がする。最初からそういう気持ちで臨んだというのもあるけど。飛行機では行きも帰りも、妻と息子、父と娘というペアで座っていたので、娘とたっぷり接する時間もあった。別にたくさん話し込んでいたわけではないけれど、8時間とか10時間とかずっととなりに座っているなんて普通はないので、それもなかなかいい時間だった。明日からまた仕事も学校も始まる。とりあえず次の長期休暇(いつになるかは未定だけど)まで、とにかくやることそれぞれにベストを尽くして行くぞっと!
もやもや病については、これも進行性の難病で治癒がないと言われる病気だけれど、小児発症の場合は適切なバイパス手術をすれば、その予後はそんなに悪くないという経験的なデータの蓄積があり、うちの場合は幸いそれを実感できている。
でも肺高血圧は今でもまったく楽観できる病気ではない。
ロレンツォ(ロレンゾ)のオイル/命の詩という、実話に基づいた映画がある。当時治療法がまったくなかった副腎白質ジストロフィーという難病を背負った息子のために、理系科目にはもともとまったくの素人である両親が新たな治療法を追い求め、研究し、患者と健常者との間の脂肪酸代謝機能の差から導かれたアイデアの元、ある種の油を精製して飲ませると、奇跡的に病状が好転し、その後医療従事者の間でもこの病気の治療法として使われることになったという話である。ただし実際には、誰にでも効くというわけではなかった。
肺高血圧という病気にロレンツォのオイルはあるのか?曲がりなりにも医薬品業界に20年近く関わってきた身としては、当然こういうunmet needsに対して何かできないかと考える。しかも難病の患者は自分の子供である。現在自分が勤める会社の事業領域と合わないとすれば、方法としては転職してその領域に力を入れている会社に加わるか、自分で起こすかということになる。でも効果が実証されている既存の医療は継続したい。そのためには雇用主経由で加入している現在の保険を解約することはあまりにもリスキーだ。みなさんが同様な立場にあったとしたらどうされるだろう?
難病ではあるけれど、多くの方々のいろいろな研究の成果で、ここ10年ほどの間に新しい治療薬がいくつも開発されていて、治療成績は格段に改善してきている。ただし各種の検査(むしろこちらの方が高額だったりする)を含めてその恩恵を受けるために必須なのが医療保険である。こういった患者数が少ない難病というのは、新しい治療薬(治療法)に対するニーズは高いものの、製薬企業にとっての経済的インセンティブは小さい。従って治療は相当な高額にならざるを得ない。そこをカバーしてくれるのが、言うまでもなく保険なのである。保険のおかげで、おそらく現時点で得られる限りの医療サービスを享受させていただいていると思う。日本でも難病指定とかだと医療費が軽減されるようだが、こちらでも同様なことはあって、一律に何割負担とかではなくなり、かなりの部分がカバーされるようになる。
しかしアメリカの場合、個人で質のいい医療保険に加入するためにはとんでもない費用がかかるし、こういった既往症を持った上で現在の保険を解約して新たな保険に加入するのはかなり難しいかも知れないという現実もある。
そういうわけでうちが実際に行っているのは、Stanfordの心臓チームの勧めに沿った治療を受けることと、仕事の合間に自分でできる文献等の調査だけだ。肺高血圧の治療薬開発に注力している製薬企業は限られている。それらの会社の動向をモニターすること、関連する医療関係のMLに登録し、ニュースをチェックし、定期的にキーワードで文献検索をすることなど。すでに認可された治療薬の臨床成績をチェックし、現在開発中の新しい治療薬の論文などを集めて将来の実用化に期待すること。
妻の勧めもあり、年末に日本で東洋医学系の先生にも指南を受けた。これでできることは全部やっているのか?他に何かあるのか?ないのか?人生には、学校で教えてくれないことが本当にたくさんある。
2週間余りも休暇を取り、日本のおいしい食事を堪能しながら本も少し読み、上記に加えて3月のSVバイオツアーについて、会社での仕事についてなど、いろいろなことを考えた。実は今まで、休暇後に学校や仕事に戻るのっていやいやなことが多かったので、休暇で充電できたとかいう人たちの気持ちがあまりわからなかった。
でも今回は全体にゆったりした日程だったこともあってか、何か充電みたいなことができた気がする。最初からそういう気持ちで臨んだというのもあるけど。飛行機では行きも帰りも、妻と息子、父と娘というペアで座っていたので、娘とたっぷり接する時間もあった。別にたくさん話し込んでいたわけではないけれど、8時間とか10時間とかずっととなりに座っているなんて普通はないので、それもなかなかいい時間だった。明日からまた仕事も学校も始まる。とりあえず次の長期休暇(いつになるかは未定だけど)まで、とにかくやることそれぞれにベストを尽くして行くぞっと!
by a-pot
| 2009-01-05 15:20
| もやもや病/肺高血圧/FMD