2005年 05月 10日
経口タンパク製剤の可能性 |
インスリンとかエリスロポエチンといった、いわゆるタンパク質製剤は口からは飲めないため注射でのみ使われ、口から飲めるのは低分子医薬だけというのはこれまでの常識。タンパク質は吸収される前に消化管で消化(分解)されてしまうからだ。ところがUniv Southern California, School of Pharmacyのチームが、PNAS(という学術雑誌)に、経口投与(マウス)で期待された薬理作用を示すタンパク質を発表したようだ。
彼らは鉄を運搬するタンパク質、transferrinに着目。Transferrinは小腸の内皮細胞のレセプターを介して血中に移動する。このためいくつかのタンパク医薬品をpiggy-back fashionで(貨車に載せるように)運ぶのに使われてきたのだそう。この性質を利用して、transferrinとタンパク医薬のfusionを作った。モデルとして選ばれたのはG-CSFという白血球増多因子で、癌の化学療法の副作用によって減少した白血球数を回復するためのタンパク医薬。遺伝子組み換えにより、半分のtransferrinと半分のG-CSFをつないだfusionタンパク質を発現。これをマウスに経口投与したところ、通常の注射剤は1日しか効果が続かないのに対して、白血球数を3日間に渡って増加させたとのこと。彼らはついに、必要な薬効を示す経口タンパク製剤を創製したのだ。
もちろんこれをヒトの薬にするまでにはまだ長い道のりがあるだろうけれど、方法論としては非常に汎用性が高く、他の様々なタンパク質にも応用できそう。やればできるものだなあ。低分子を扱うメディシナルケミストもうかうかしていられないようだ。
彼らは鉄を運搬するタンパク質、transferrinに着目。Transferrinは小腸の内皮細胞のレセプターを介して血中に移動する。このためいくつかのタンパク医薬品をpiggy-back fashionで(貨車に載せるように)運ぶのに使われてきたのだそう。この性質を利用して、transferrinとタンパク医薬のfusionを作った。モデルとして選ばれたのはG-CSFという白血球増多因子で、癌の化学療法の副作用によって減少した白血球数を回復するためのタンパク医薬。遺伝子組み換えにより、半分のtransferrinと半分のG-CSFをつないだfusionタンパク質を発現。これをマウスに経口投与したところ、通常の注射剤は1日しか効果が続かないのに対して、白血球数を3日間に渡って増加させたとのこと。彼らはついに、必要な薬効を示す経口タンパク製剤を創製したのだ。
もちろんこれをヒトの薬にするまでにはまだ長い道のりがあるだろうけれど、方法論としては非常に汎用性が高く、他の様々なタンパク質にも応用できそう。やればできるものだなあ。低分子を扱うメディシナルケミストもうかうかしていられないようだ。
by a-pot
| 2005-05-10 13:54
| 医薬、バイオ関連