2005年 06月 11日
もやもや病 |
これについて何度か書いているけれど、考えてみると、いったいどういう病気なのかちゃんと書いていなかった。ひとりでも多くの人に知って欲しいのは、これが気づかぬうちに進行して、場合によっては重篤な脳梗塞に至ってしまう可能性があるから。しかし多くの場合兆候があるので、その時点できちんと検査をして、対処すれば大事に至らずにすむ可能性が高いからだ。
この病気では、脳に血液を供給する動脈のうちのひとつまたはふたつが狭窄して、その先の血流が不足する。するとこれを補うために、その先に細~い血管が無数に発達する。画像診断すると、この細い血管が、あたかもたばこの煙がもやもやっと立ちのぼる形に見えることからこの名前がついた。1950年代に日本で初めて報告されたので、英語でもmoyamoya diseaseという。発症年齢に2つのピークがあり、ひとつは5歳から10歳あたりの子供。もうひとつは30歳から40歳の大人。子供の場合脳虚血発作が起こる場合が多く、大人の場合は逆に脳出血が起きることが多いらしい。今のところ原因は不明。
さてその兆候とは。脳の血流が不足して症状が出るので、それはいわゆる脳梗塞と似ている。手や足の力が抜ける。ぽろぽろっと物を落とす。顔の筋肉が変な感じになる。ものがうまく食べられない。ろれつが怪しくなる。言葉が出てこない。頭痛、吐き気、などが典型的。ただし数分から数時間のうちにおさまって、普通の状態に戻る。これを一過性虚血発作(Transient Ischemic Attack; TIA)と呼ぶ。
しばらくするともとに戻るので、何だったんだろうと思いつつ、そのまま忘れてしまう場合が多い。しかしこういった症状が2回あったら、いや1回でもあったら、できるだけ早く脳神経科を訪ねるべきだ。進行性の病気なので、無事ならそれでよし、もしも病気だったら少しでも早く対処した方がよい。痛くもかゆくもない(ちょっと音がうるさいけど)非浸襲型のMRI検査でおよその診断がつくので、もしも気になる症状があったらドクターに相談すべきである。
日本では難病にも指定されているし、世界的にも非常にレアな病気ということになっているけれど、専門家および当事者たちの間では最近、実はもっとたくさん患者がいるのではないかという感覚が確かなものになりつつある。ただきちんと診断されていないだけではないだろうかということだ。重篤な脳梗塞を起こしてから、調べてみたらもやもや病だったというケースもかなりある。こういう場合は、早く診断がついていればあるいは重篤な脳梗塞は防げたかも知れな
追記: 日本では毎年夏になると熱中症のニュースが出る。暑い中、水分補給が不足するとくらくらっと倒れてしまうのは、もやもや病のTIAとそっくりだ。そういう人たちの中の一部は、もしかしたらこの病気の可能性があるのでは? とさえ思う。いくら暑い中にいてもそうならない人はならないし、もやもや病でも、しばらく休めばノーマルな状態に戻るのだ。繰り返しになるけれど、何かおかしいと思ったら、脳神経科を訪ねるべきだ。早く見つければ取り返しがつく。逆に放っておくと本当に取り返しがつかなくなるかも知れないのだから。
この病気では、脳に血液を供給する動脈のうちのひとつまたはふたつが狭窄して、その先の血流が不足する。するとこれを補うために、その先に細~い血管が無数に発達する。画像診断すると、この細い血管が、あたかもたばこの煙がもやもやっと立ちのぼる形に見えることからこの名前がついた。1950年代に日本で初めて報告されたので、英語でもmoyamoya diseaseという。発症年齢に2つのピークがあり、ひとつは5歳から10歳あたりの子供。もうひとつは30歳から40歳の大人。子供の場合脳虚血発作が起こる場合が多く、大人の場合は逆に脳出血が起きることが多いらしい。今のところ原因は不明。
さてその兆候とは。脳の血流が不足して症状が出るので、それはいわゆる脳梗塞と似ている。手や足の力が抜ける。ぽろぽろっと物を落とす。顔の筋肉が変な感じになる。ものがうまく食べられない。ろれつが怪しくなる。言葉が出てこない。頭痛、吐き気、などが典型的。ただし数分から数時間のうちにおさまって、普通の状態に戻る。これを一過性虚血発作(Transient Ischemic Attack; TIA)と呼ぶ。
しばらくするともとに戻るので、何だったんだろうと思いつつ、そのまま忘れてしまう場合が多い。しかしこういった症状が2回あったら、いや1回でもあったら、できるだけ早く脳神経科を訪ねるべきだ。進行性の病気なので、無事ならそれでよし、もしも病気だったら少しでも早く対処した方がよい。痛くもかゆくもない(ちょっと音がうるさいけど)非浸襲型のMRI検査でおよその診断がつくので、もしも気になる症状があったらドクターに相談すべきである。
日本では難病にも指定されているし、世界的にも非常にレアな病気ということになっているけれど、専門家および当事者たちの間では最近、実はもっとたくさん患者がいるのではないかという感覚が確かなものになりつつある。ただきちんと診断されていないだけではないだろうかということだ。重篤な脳梗塞を起こしてから、調べてみたらもやもや病だったというケースもかなりある。こういう場合は、早く診断がついていればあるいは重篤な脳梗塞は防げたかも知れな
追記: 日本では毎年夏になると熱中症のニュースが出る。暑い中、水分補給が不足するとくらくらっと倒れてしまうのは、もやもや病のTIAとそっくりだ。そういう人たちの中の一部は、もしかしたらこの病気の可能性があるのでは? とさえ思う。いくら暑い中にいてもそうならない人はならないし、もやもや病でも、しばらく休めばノーマルな状態に戻るのだ。繰り返しになるけれど、何かおかしいと思ったら、脳神経科を訪ねるべきだ。早く見つければ取り返しがつく。逆に放っておくと本当に取り返しがつかなくなるかも知れないのだから。
by a-pot
| 2005-06-11 14:49
| もやもや病/肺高血圧/FMD