2005年 01月 06日
イレッサ ヨーロッパ発売断念 |
昨日のニュースだけれど、日米で認可されている非小細胞肺がんの治療薬Iressa (AstraZeneca) の、ヨーロッパでの発売申請が取り下げられた。ヨーロッパでの臨床試験で、ある程度の効果はあったけれど統計的に有意ではなかったためだ。この臨床試験の結果は昨年末に公表されていたので、株価は特に反応していない。おそらく日本での販売は続けられるだろうが、アメリカで今後どうなるかが注目されているようだ。この薬は、特に日本でレスポンダーが多く、またEGFRの変異と薬に対する感受性がかなりクリアーに相関しているので、投与前によく効きそうな患者さんを選ぶことができるようになろうとしている。いわゆる分子標的薬といって、従来の抗がん剤と比べて安全でよく効くことが期待されているのだけれど、現実には様々なファクターがあって、実現するのは容易ではない。一方ターゲットは違うけれど、やはりチロシンキナーゼ阻害剤であるGleevec (Novartis) は順調に適応を広げているようで、やや明暗が分かれている。
それにしても最近、世界の大手製薬会社は発売中止や開発中止、さらに売られている薬にしても安全性に関して様々な問題が持ち上がるなど、苦しい状況だ。同じ業界にいる者として、個人レベルまで落としてみれば、研究開発に手を抜いたり、いい加減に仕事をしている人などほんの一握りだと思うのだけれど(全くいないとは言わない)。世の中からは何やってるんだと思われているかも知れないが、いまだにそれだけ薬の開発と臨床効果の予測は難しく、実際に大多数に使われてみて初めてわかってくることも多いということだ。ただし昔と比べると、開発に費用と時間がかさみ、競争が激化し、少しでも早く上市しないと特許期間が短くなって、利益どころか開発費さえ回収できないというあせりもある。薬の安全性に関しては本来、石橋を何度もたたいて渡るべきものだが、様々な局面で、もしもたたく回数と反応を待つ時間が減少傾向にあるとしたら、重大な問題である。
それにしても最近、世界の大手製薬会社は発売中止や開発中止、さらに売られている薬にしても安全性に関して様々な問題が持ち上がるなど、苦しい状況だ。同じ業界にいる者として、個人レベルまで落としてみれば、研究開発に手を抜いたり、いい加減に仕事をしている人などほんの一握りだと思うのだけれど(全くいないとは言わない)。世の中からは何やってるんだと思われているかも知れないが、いまだにそれだけ薬の開発と臨床効果の予測は難しく、実際に大多数に使われてみて初めてわかってくることも多いということだ。ただし昔と比べると、開発に費用と時間がかさみ、競争が激化し、少しでも早く上市しないと特許期間が短くなって、利益どころか開発費さえ回収できないというあせりもある。薬の安全性に関しては本来、石橋を何度もたたいて渡るべきものだが、様々な局面で、もしもたたく回数と反応を待つ時間が減少傾向にあるとしたら、重大な問題である。
by a-pot
| 2005-01-06 10:10
| 医薬、バイオ関連