2005年 07月 14日
論文博士残して! |
ずっと前からそのうちなくなるかもと言われてきたが、論文博士制度がいよいよ廃止に向けて動き出したようだ。
何を隠そう私もこれで学位取得したので、気になる話題である。以前から賛否両論あるのは認識しているけれど、私はこれって結構いいシステムだと思う。大きな問題はおそらく、学位授与の基準が大変あいまいなこと。大学によって、学部によって、さらには教官によって違っているのが現実。でも過程博士だって多かれ少なかれそういう部分はあるはず。学位というのは研究業績にかなり依存しているので、テストの点数みたいに単純に数値化できないところが悩ましいところなのだろう。
そういう中で、論文博士の取得は大雑把に言って過程博士よりも若干厳しいと思うし、それがいいとも思う。教官が何年もかけて指導しているわけではないのだから、本人の資質と研究内容が、短い評価期間の中で十分納得できるものであるべきで、従ってある程度厳しくなるのは当然と言える。
そういったことを踏まえれば、論文博士というのは十分高い質を確保できるし、修士取得後最低4年間の実務(研究)経験と、一定数以上のreviewつきpublicationなどを条件とすれば、過程博士と比較して内容的に劣るということは基本的にないと思うし。
それに私の場合、修士過程を終える時点で、博士号の価値とか必要性とかについてしっかりと理解していなかったし、正直考えてもいなかった。途方もないことのように思えたし、自分には無縁の世界とさえ思っていた。でも企業に就職して曲がりなりにも研究職としていろいろと体験するうちに、もしかしたら自分にも取れるかも、取ったらいいかも、やっぱ取りたいかも、といった感じで、徐々に現実感を帯びてきて、結局就職してから10年目に取ることができた。論文は1st authorでフルペーパー4報、ひーひー言いながらも何とか出せた。それじゃ足りないという先生もいらっしゃることとは思うけれど、例えば有機合成の博士課程に3年いて3報以上出せる人ってそんなにたくさんはいないんじゃないかとも思います・・・。それらをまとめて学位論文にしたのだけれど、仕事中はできないので、ほとんど週末の作業。家族の理解も必須である。そうして取得した学位があったからこそ、アメリカの企業に転職する際も大変スムーズだったし、今もそれなりに満足のいく仕事が得られている。世の中にはいろいろな意味でスロースターターだっているのだ。
私が知る限り、論文博士は日本独自のシステムだ。ジョブインタビューなどでレジュメを見せると、会社に入ってからしばらく後でPh.D.取得という点で何度も??の顔をされた。そのたびに、日本ではこういう形で学位が取れるのですと説明するのだけれど、これまでのところ、そんなのおかしいといった反応はない。むしろ、おもしろいね、それはいいシステムだね、というコメントが多い。もちろん私に気を使ってくれているところもあるのだろうけど。
読売の記事によれば、
とのことだけれど、これに関しては諸外国にない制度だから廃止するのではなく、諸外国にも理解を求め、広めていく努力をする、という姿勢が欲しい。と、個人的には思う。自分がこれで取ったからではなく、キャリアプランの選択肢と可能性を広げるという意味で、非常にいいシステムだと思うから。そして、科学論文として同じ土俵で発表される企業での研究が、大学での研究と比較して劣ることはないとも思うからだ。
何を隠そう私もこれで学位取得したので、気になる話題である。以前から賛否両論あるのは認識しているけれど、私はこれって結構いいシステムだと思う。大きな問題はおそらく、学位授与の基準が大変あいまいなこと。大学によって、学部によって、さらには教官によって違っているのが現実。でも過程博士だって多かれ少なかれそういう部分はあるはず。学位というのは研究業績にかなり依存しているので、テストの点数みたいに単純に数値化できないところが悩ましいところなのだろう。
そういう中で、論文博士の取得は大雑把に言って過程博士よりも若干厳しいと思うし、それがいいとも思う。教官が何年もかけて指導しているわけではないのだから、本人の資質と研究内容が、短い評価期間の中で十分納得できるものであるべきで、従ってある程度厳しくなるのは当然と言える。
そういったことを踏まえれば、論文博士というのは十分高い質を確保できるし、修士取得後最低4年間の実務(研究)経験と、一定数以上のreviewつきpublicationなどを条件とすれば、過程博士と比較して内容的に劣るということは基本的にないと思うし。
それに私の場合、修士過程を終える時点で、博士号の価値とか必要性とかについてしっかりと理解していなかったし、正直考えてもいなかった。途方もないことのように思えたし、自分には無縁の世界とさえ思っていた。でも企業に就職して曲がりなりにも研究職としていろいろと体験するうちに、もしかしたら自分にも取れるかも、取ったらいいかも、やっぱ取りたいかも、といった感じで、徐々に現実感を帯びてきて、結局就職してから10年目に取ることができた。論文は1st authorでフルペーパー4報、ひーひー言いながらも何とか出せた。それじゃ足りないという先生もいらっしゃることとは思うけれど、例えば有機合成の博士課程に3年いて3報以上出せる人ってそんなにたくさんはいないんじゃないかとも思います・・・。それらをまとめて学位論文にしたのだけれど、仕事中はできないので、ほとんど週末の作業。家族の理解も必須である。そうして取得した学位があったからこそ、アメリカの企業に転職する際も大変スムーズだったし、今もそれなりに満足のいく仕事が得られている。世の中にはいろいろな意味でスロースターターだっているのだ。
私が知る限り、論文博士は日本独自のシステムだ。ジョブインタビューなどでレジュメを見せると、会社に入ってからしばらく後でPh.D.取得という点で何度も??の顔をされた。そのたびに、日本ではこういう形で学位が取れるのですと説明するのだけれど、これまでのところ、そんなのおかしいといった反応はない。むしろ、おもしろいね、それはいいシステムだね、というコメントが多い。もちろん私に気を使ってくれているところもあるのだろうけど。
読売の記事によれば、
中央教育審議会は(筆者注、6月)13日の総会で大学院改革に関する中間報告「新時代の大学院教育」をまとめ、中山文部科学相に提出した。
報告は、企業などに勤めながら研究論文を大学に提出して博士号を取得する「論文博士」について、「諸外国の制度と比べ日本独特の論文博士は、将来的には廃止する方向で検討すべき」と指摘、大学院の教育課程を修了して博士号を取得する「課程博士」制度に一本化する方針を決めた。
とのことだけれど、これに関しては諸外国にない制度だから廃止するのではなく、諸外国にも理解を求め、広めていく努力をする、という姿勢が欲しい。と、個人的には思う。自分がこれで取ったからではなく、キャリアプランの選択肢と可能性を広げるという意味で、非常にいいシステムだと思うから。そして、科学論文として同じ土俵で発表される企業での研究が、大学での研究と比較して劣ることはないとも思うからだ。
by a-pot
| 2005-07-14 13:22
| 科学一般