2006年 09月 15日
学会終了に際して |
日曜日からサンフランシスコで開かれていたアメリカ化学会の年会がようやく終了し、今日(木曜日)の昼過ぎに、Palo Altoの会社に同僚二人と戻ってきました。一人は最後の最後まで口演を聞くとのことで夕方までSFにいたようですが。
私は昨晩ひとつポスター発表しましたが、おかげさまでそれなりにたくさんの方に見に来ていただけました。発表した化合物が、化学系の学会では初めてだったので、一番多かった質問は、「その化合物って安定なんですか?というもの」。当社の化合物の特徴でもあるのですが、ホウ素を含む化合物は医薬品としては非常に珍しいので、専門家としての多くのメディシナルケミストの目から見ても、最初は???という感じになります。
でもこれが実に安定なんです。まあそれはさておき。
発表者である私が日本人であるためか、何となく日本人の参加者が多めに立ち寄ってくれたような気がしました。医薬化学関連には製薬会社のメディシナルケミストが一番たくさんやって来ます。
先日来書いている通り、ここしばらくパートナーリングのために日本の製薬会社さんとコンタクトさせていただいているのですが、おもしろいなーとしみじみ思ったことがあります。それは、製薬会社の研究所と、ライセンス、事業開発、戦略企画といった本社の部署(ここではまとめてライセンス部とします)との間というのはとても遠いのだなということ。
これは決して日本の会社に限ったことではありません。欧米の会社も基本的に同じです。でもみなさんもう少し考えてみた方がいい問題ではないかと思います。
どういうことかというと。
研究所の人たちは、本社ライセンス部がどこの会社のどういう化合物を導入候補として検討しているか、普通は知りません。私も日本の会社にいた時は何も知らなかったし。ライセンス部である程度の可能性を感じた時点で、他部署の限られた人たちに評価を依頼します。他部署とは、研究所、臨床開発、マーケティングなどです。
研究所といっても、その情報が行くのはほんの一部の人たちだけで、いわゆる一般の研究員みたいなところまではめったに行きません。でも実際にはこういう人たちが海外へ学会出張に出てきたりもするわけで、実は本社のライセンス部が導入を検討中の化合物の発表に遭遇したりするのですが、当人はそんなこととはつゆ知りません。
これは大変もったいないことで、こういう機会をもっとうまく活用しない手はないと思うわけです。ちょっとした社内の情報の共有だけで簡単にできることだと思います。ライセンス部は研究所の誰がどの学会に行く予定か把握し、そこに評価中の会社の発表がないか調べ、もしあれば出張者に事情を説明して、現地で直接の情報収集に当たらせる。
いろいろな意味で秘密が漏れるとか心配される向きもあるかも知れませんが、自社の社員を信用できなくてどうする?と思います。語学力の不安もあるでしょうが、もしかしたらこれに将来の社運がかかってくるかも知れないと思えば、たいがいの人は何とかしてがんばるのではないでしょうか?たとえ完璧なコミュニケーションはできなくても、できる限りのことをするだけで全然違うと思いますし、立場と責任を明らかにして臨めば、私はマイナスになることは何もないと思います。
今日はとりあえずこのくらいにさせていただきますが、このネタについてはまた改めてどこかで書きたいと思います。
私は昨晩ひとつポスター発表しましたが、おかげさまでそれなりにたくさんの方に見に来ていただけました。発表した化合物が、化学系の学会では初めてだったので、一番多かった質問は、「その化合物って安定なんですか?というもの」。当社の化合物の特徴でもあるのですが、ホウ素を含む化合物は医薬品としては非常に珍しいので、専門家としての多くのメディシナルケミストの目から見ても、最初は???という感じになります。
でもこれが実に安定なんです。まあそれはさておき。
発表者である私が日本人であるためか、何となく日本人の参加者が多めに立ち寄ってくれたような気がしました。医薬化学関連には製薬会社のメディシナルケミストが一番たくさんやって来ます。
先日来書いている通り、ここしばらくパートナーリングのために日本の製薬会社さんとコンタクトさせていただいているのですが、おもしろいなーとしみじみ思ったことがあります。それは、製薬会社の研究所と、ライセンス、事業開発、戦略企画といった本社の部署(ここではまとめてライセンス部とします)との間というのはとても遠いのだなということ。
これは決して日本の会社に限ったことではありません。欧米の会社も基本的に同じです。でもみなさんもう少し考えてみた方がいい問題ではないかと思います。
どういうことかというと。
研究所の人たちは、本社ライセンス部がどこの会社のどういう化合物を導入候補として検討しているか、普通は知りません。私も日本の会社にいた時は何も知らなかったし。ライセンス部である程度の可能性を感じた時点で、他部署の限られた人たちに評価を依頼します。他部署とは、研究所、臨床開発、マーケティングなどです。
研究所といっても、その情報が行くのはほんの一部の人たちだけで、いわゆる一般の研究員みたいなところまではめったに行きません。でも実際にはこういう人たちが海外へ学会出張に出てきたりもするわけで、実は本社のライセンス部が導入を検討中の化合物の発表に遭遇したりするのですが、当人はそんなこととはつゆ知りません。
これは大変もったいないことで、こういう機会をもっとうまく活用しない手はないと思うわけです。ちょっとした社内の情報の共有だけで簡単にできることだと思います。ライセンス部は研究所の誰がどの学会に行く予定か把握し、そこに評価中の会社の発表がないか調べ、もしあれば出張者に事情を説明して、現地で直接の情報収集に当たらせる。
いろいろな意味で秘密が漏れるとか心配される向きもあるかも知れませんが、自社の社員を信用できなくてどうする?と思います。語学力の不安もあるでしょうが、もしかしたらこれに将来の社運がかかってくるかも知れないと思えば、たいがいの人は何とかしてがんばるのではないでしょうか?たとえ完璧なコミュニケーションはできなくても、できる限りのことをするだけで全然違うと思いますし、立場と責任を明らかにして臨めば、私はマイナスになることは何もないと思います。
今日はとりあえずこのくらいにさせていただきますが、このネタについてはまた改めてどこかで書きたいと思います。
by a-pot
| 2006-09-15 16:07
| 医薬、バイオ関連