2007年 05月 26日
Science! |
うちの会社からSchering-Ploughにライセンスした爪白癬治療薬AN2690の作用機序に関する論文が、雑誌 Science にアクセプトされました。
共結晶構造解析など、いくつかのアカデミアグループとのコラボレーションで、私は16名の著者のうち9番目なので、その他大勢のひとりではありますが(^^;)、Science の論文に名前が載るなんて一生に一度あるかどうか。チームメートに感謝です。
AN2690は真菌のロイシルt-RNA合成酵素のediting domeinを選択的に阻害することでタンパク合成を阻害し、真菌をやっつける初めての化合物で、そのあたりの詳細についての報告です。タンパク質が合成される時には、tRNAというアミノ酸を拾うことを専門とするRNAにアミノ酸が結合されます。この仕事をするのがアミノ酸tRNA合成酵素で、アミノ酸の数だけ種類があります。
ところがいくつかのアミノ酸は、構造が類似した物が多いため、タンパク合成の際にtRNAが間違ったアミノ酸を拾わないようにediting domeinというものがあって、proof reading、すなわちチェック機構が働いています。ロイシンの場合はイソロイシン、バリン、メチオニンといったものとしっかり区別する必要があって、これら間違ったアミノ酸が拾われた場合にはこのediting domeinで加水分解され放出されます。AN2690は、これに関連する部分をがっちりと阻害するのですが、詳細はpublishされてから(笑)。
これが Science にアクセプトされたポイントはおそらく、今まで薬剤のターゲットになるかどうかわかっていなかったアミノ酸tRNA合成酵素のediting domeinというものが、爪白癬だけではなく、その他の抗真菌剤や抗菌剤、もしかしたら抗癌剤の新しいターゲットとなり得ることが、臨床試験によるProof of Concept (POC) と共に示されたことにあると思われます。
ほぼ全部バイオロジーチームの仕事ですが、ほんの少しMedChemも。もともとこの化合物を見出したのはケミストリーグループですから、まあ貢献度はいっしょかなと。
Anacorではこれで4報目の論文になりますが、サイドビジネスばかりではなく、一応ちゃんとした仕事もしていることが示せたかな(笑)。
(追記)本エントリーは6月22日まで非公開としていましたが、論文がpublishされたので、あらためて公開としました。
共結晶構造解析など、いくつかのアカデミアグループとのコラボレーションで、私は16名の著者のうち9番目なので、その他大勢のひとりではありますが(^^;)、Science の論文に名前が載るなんて一生に一度あるかどうか。チームメートに感謝です。
AN2690は真菌のロイシルt-RNA合成酵素のediting domeinを選択的に阻害することでタンパク合成を阻害し、真菌をやっつける初めての化合物で、そのあたりの詳細についての報告です。タンパク質が合成される時には、tRNAというアミノ酸を拾うことを専門とするRNAにアミノ酸が結合されます。この仕事をするのがアミノ酸tRNA合成酵素で、アミノ酸の数だけ種類があります。
ところがいくつかのアミノ酸は、構造が類似した物が多いため、タンパク合成の際にtRNAが間違ったアミノ酸を拾わないようにediting domeinというものがあって、proof reading、すなわちチェック機構が働いています。ロイシンの場合はイソロイシン、バリン、メチオニンといったものとしっかり区別する必要があって、これら間違ったアミノ酸が拾われた場合にはこのediting domeinで加水分解され放出されます。AN2690は、これに関連する部分をがっちりと阻害するのですが、詳細はpublishされてから(笑)。
これが Science にアクセプトされたポイントはおそらく、今まで薬剤のターゲットになるかどうかわかっていなかったアミノ酸tRNA合成酵素のediting domeinというものが、爪白癬だけではなく、その他の抗真菌剤や抗菌剤、もしかしたら抗癌剤の新しいターゲットとなり得ることが、臨床試験によるProof of Concept (POC) と共に示されたことにあると思われます。
ほぼ全部バイオロジーチームの仕事ですが、ほんの少しMedChemも。もともとこの化合物を見出したのはケミストリーグループですから、まあ貢献度はいっしょかなと。
Anacorではこれで4報目の論文になりますが、サイドビジネスばかりではなく、一応ちゃんとした仕事もしていることが示せたかな(笑)。
(追記)本エントリーは6月22日まで非公開としていましたが、論文がpublishされたので、あらためて公開としました。
by a-pot
| 2007-05-26 12:06
| 医薬、バイオ関連