2009年 04月 16日
JBCツアー参加者へのメッセージ |
私から参加者のみなさんに送ったメッセージです(一部改変)。
縁あって5年前にJTPAのSVツアーのお手伝いをして以来、私はJBCでもこんなツアーができたらいいなと思い続けてきました。フィードバックの中に、なぜシリコンバレーの人々はそこまでしてくれるのかという疑問がありました。私が思うに、こういった活動に協力してくださる方々のほとんどは、何だかんだと苦楽あれども、結局ここでの人生を楽しんでいるからではないでしょうか。少なくとも私はそうです。
日本国内にいるだけでは知ることができなかった、体験できなかったこんな生き方もあるよということを、日本のみなさんにシェアしたい、ただそれだけの気持ちがドライビングフォースになっているような気がします。要するに理由は何であれシリコンバレーが大好きになってしまったので、それをもっと多くの人に伝えたいというだけなのかも知れません。なのである意味、物事のupsideだけを見せて、downsideは見せていないということになりますが、トータルすればプラス面の方が大きい場合が多いと考えていいのではないかと思います。
それは誰にでも当てはまるというものではないでしょうが、結果としてシリコンバレーに来ても来なくても、みなさんの人生の選択肢を広げる、あるいは人生に対する考え方に刺激を与えることになれば、それで十分と考えています。とりわけ、日本にいて自分の居場所に問題がある、あるいは自分の居場所がないと感じているような人にとっての、具体的な解決策のひとつを示すことにもなるはずですし。
多くのスピーカーの言葉にもあったように、周囲の環境に文句を言うのではなく、自分が変わる、または動いてしまうというのもアリだと。もちろん体制を変えるために全力で戦うというのもアリですが、今の日本は、明日黒船がやって来たところでそんなに大きく変わることなどあり得ないという時代ですから、周囲にどれほどの変化を期待するべきなのか、そして自分にはどんな選択肢があるのかを考えるきっかけにもなるだろうと。そして実際に動いてみたらずっといい人生が展開したという人たちがここにはいるので、時にシリコンバレーにおいでよというメッセージに見えるのだと思います。
このロジックは特にシリコンバレーに渡った女性から日本の女性に向けられることが多いですが、当然同じことは男性にも当てはまりますし、とにかくまずは、日本にいたのではわからない世界を知るべしということで、その上でそれでは自分はどうするかを考えればいい。
2分間スピーチの中で話があったように、今回JBCがバイオツアー開催にこぎつけることができたきっかけは、JBCオーガナイザーのひとりと名古屋大学のある特任教授との出会いでした。さらに今回から、JTPAツアーが1日のカンファレンスというフォーマットに変更され、しかも開催が3月21日になりそうだという情報が得られたことも、ある意味追い風となりました。
なぜか。ちょっと細かいことになりますが、これまでJTPAツアーはまさに今回の私たちの日程、3月の第2週の週末に行われていたからで、しかも過去5年間、この週末は雨が降っていないのです! シリコンバレーの3月というのは、冬の雨季が終わるか終わらないかという微妙な時期で、早くからSV入りしていた人や、翌週のJTPAカンファレンスまで滞在していた人は実際に体験したと思いますが、時々雨が降ります。でもその後は11月までみなさんが見たような青空が続くわけで、SVツアーをやるからには何を差し置いてもその天候を体験してもらいたいということがありました。その点が達成されただけでも、来てもらったかいがあったというものです(笑)。
ただし準備段階で、Skypeがこれほど浸透していなかったということは大きな誤算でした。大半の人はすでに使っていて、さくさくっとミーティングできるものと思っていたのが大間違いでしたね(^^;)。これは反省材料。
食事についてはあそこまでしなくてもという感じのコメントをいくつかいただきました。むしろもっといい加減なアメリカンなものを体験してみたかったとか。ただしこれも、過去の経験では実際にそうすると、食事がまずかったという不満を言う人が必ず出てくるのです(笑)。そして食べ物の恨みというのはほんとに馬鹿にできないというか、ツアー全体の印象を左右しかねないもので、いかに何度もしつこくこれはあくまでボランティア事業であるといっていても、あれだけ参加費を取っておいてこれかよみたいな、私が知る限り人間というのはそういう生き物なのです(笑)。それが正しいか間違っているかということ以前に、いったんネガティブな印象を持たれたら、悪事でなくても噂が千里を走る可能性があります。一方これは主催者のちょっとした手間次第でいかようにもなることですので、食事に関してはもっと悪くてもよかったという不満(?)が出るくらいでちょうどいいというのが私の考えで、そういう意味ではよかったです。ま、引率の私たちがアメリカンでジャンキーなものとかわざわざ食べたくないというのもありますが(笑)。
ともあれ今回のスケジュールと実際の内容が概ね満足してもらえたようで、とても嬉しく思います。みなさんのフィードバックを読んでいても、そんなふうに感じていたのかとか、そんなことまでも汲み取っていたのかと、教えられ感心させられることしきりです。これだけの人数がいて、年齢も、所属も、興味もそれぞれですから、全員が100%の満足というのはあり得ないわけですが、それでもかなり高い最大公約数に落ち着くことができたのかなと感じています。これもみなさんがすべてのセッションに積極的に臨んでくれたからだと思います。
正直言って、みなさんが思った以上に丁寧なフィードバックをくれたことにとても感激しています。募集案内の応募資格にも書いておいたので、もちろん最初からの約束事ではあるのですが、本来何の拘束力もないことなのに、本当にありがとうございました。なんであそこまで細かくと思われるかも知れませんが、こうすることで協力いただいた方々それぞれにフィードバックを送ることができるからです。あるいは個人的にメール等されているかも知れませんが、まとめたものもあった方がいいと私は思います。さらに今後の改善に向けての貴重な資料となりますし、ポジティブなフィードバックは何よりも励みになります。
これは本当に大事なことで、今後もぜひ継続して、上の人に対しても下の人に対しても、意識してポジティブフィードバックを心がけてもらいたいと思います。ネガティブなことは言われなくても出てくるものですが、ポジティブフィードバックは出そうと意識しないとなかなか出ません。所属する組織(ひいては社会)に活気を与え、イノベーションやブレークスルーを引き出す重要な要素のひとつがポジティブフィードバックのカルチャーだと、私は思います。豚もおだてりゃ木に登るのです。だったらお互いにおだてあって、みんなで木に登りましょう。
最初の自己紹介のところでお知らせしたとおり、私自身のことはウェブ上に全部書いてあるからということで、ツアー中にあらためてトークの時間は設けませんでした。しかしウェブ上で読むのと実際に生の話を聞くのとでは違うのは確かで、本来なら時間を設けてお話ししたいこともないではないのですが、あれだけおもしろい方々がたくさんいて、さらにもう枠がないので今回はご協力をお願いすることができなかった方々がいるのも現実で、できるだけたくさんの方に会ってもらいたいという点を優先させた結果、そういう結論になりました。これは事前に決めたことなので、あの予習シリーズに加えて、私からのメッセージも事前にメールで送っておこうと思って実は少し準備していたのですが、残念ながらそこまでは手が回らずに今回は断念しました。まあそれくらいで分量としてはちょうどよかったかも知れませんね。後でこんなに書いてますし(笑)。
メールでの予習シリーズについては、貴重だった、助かったというコメントをいただきました。送っておいて言うのも何ですが、ずいぶん過保護なことをしたと思っています。これがひとつの大学のシリコンバレー研修であれば、参加者全員を一同に集めて説明会をしたり、事前のセミナーをしたりということができますし、予習シリーズで送ったような内容も、分担して自分たちで調べ、全員にシェアさせるというやり方になります。しかし参加者が文字通り全世界に散らばっていて、ツアーに望むものや、各自が費やせる時間等にも差がある中で、今回は初回ということもあり、あのような形になりました。有志に手を挙げてもらってやってもらうというのも、ひとつの手かも知れませんね。
このツアーは、あくまできっかけや刺激を与えるためのものであって、それ以上のことはできません。ちなみにこのツアーに2回以上参加するというのはあり得ません(つまり受け付けません)。今回何かを感じてもらえたなら、あとはあなた自身が次のアクションを起こすことです。多くの人の記憶に残った、鶴下さんの「一歩踏み出してみる」という言葉、これに尽きると思います。繰り返しになりますが、誰もがシリコンバレーに来ればいいなどということはありません。ただこういう世界もあるということを肌で感じるということは、みなさんがこれからどんな道を歩くにせよ決して無駄にはならないと思います。
フィードバックの中に、私の心の底からの最後の締めが聞きたかったというコメントがありました(お茶を濁してしまって失礼しました ^^;)。みなさんはこの新手の振り込め詐欺かもしれない(笑)ツアーに応募し、金額的にもちょっと思い切りが必要な投資を自分に対して行い、参加するという決心をしたわけです。それだけですでに一歩踏み出しているといえるでしょう。これだけのアンテナ感度を持ち、行動力のあるみなさんがこうして出会い、新しいネットワークを築くことができた。そんなみなさんですから、このツアーで何を得たかとかそんなことには関係なく、必要なときには決断をし、どんな形であれ最終的に悔いのない人生を切り開いて行けるはずですし、ぜひともそうあってください。それが私からのメッセージです。
世界は思ったよりも狭いですから、そのうちまたどこかで会うこともあるでしょうし、その日までおたがいこれからもベストを尽くしていられるといいですね。
2009年4月
赤間 勉
縁あって5年前にJTPAのSVツアーのお手伝いをして以来、私はJBCでもこんなツアーができたらいいなと思い続けてきました。フィードバックの中に、なぜシリコンバレーの人々はそこまでしてくれるのかという疑問がありました。私が思うに、こういった活動に協力してくださる方々のほとんどは、何だかんだと苦楽あれども、結局ここでの人生を楽しんでいるからではないでしょうか。少なくとも私はそうです。
日本国内にいるだけでは知ることができなかった、体験できなかったこんな生き方もあるよということを、日本のみなさんにシェアしたい、ただそれだけの気持ちがドライビングフォースになっているような気がします。要するに理由は何であれシリコンバレーが大好きになってしまったので、それをもっと多くの人に伝えたいというだけなのかも知れません。なのである意味、物事のupsideだけを見せて、downsideは見せていないということになりますが、トータルすればプラス面の方が大きい場合が多いと考えていいのではないかと思います。
それは誰にでも当てはまるというものではないでしょうが、結果としてシリコンバレーに来ても来なくても、みなさんの人生の選択肢を広げる、あるいは人生に対する考え方に刺激を与えることになれば、それで十分と考えています。とりわけ、日本にいて自分の居場所に問題がある、あるいは自分の居場所がないと感じているような人にとっての、具体的な解決策のひとつを示すことにもなるはずですし。
多くのスピーカーの言葉にもあったように、周囲の環境に文句を言うのではなく、自分が変わる、または動いてしまうというのもアリだと。もちろん体制を変えるために全力で戦うというのもアリですが、今の日本は、明日黒船がやって来たところでそんなに大きく変わることなどあり得ないという時代ですから、周囲にどれほどの変化を期待するべきなのか、そして自分にはどんな選択肢があるのかを考えるきっかけにもなるだろうと。そして実際に動いてみたらずっといい人生が展開したという人たちがここにはいるので、時にシリコンバレーにおいでよというメッセージに見えるのだと思います。
このロジックは特にシリコンバレーに渡った女性から日本の女性に向けられることが多いですが、当然同じことは男性にも当てはまりますし、とにかくまずは、日本にいたのではわからない世界を知るべしということで、その上でそれでは自分はどうするかを考えればいい。
2分間スピーチの中で話があったように、今回JBCがバイオツアー開催にこぎつけることができたきっかけは、JBCオーガナイザーのひとりと名古屋大学のある特任教授との出会いでした。さらに今回から、JTPAツアーが1日のカンファレンスというフォーマットに変更され、しかも開催が3月21日になりそうだという情報が得られたことも、ある意味追い風となりました。
なぜか。ちょっと細かいことになりますが、これまでJTPAツアーはまさに今回の私たちの日程、3月の第2週の週末に行われていたからで、しかも過去5年間、この週末は雨が降っていないのです! シリコンバレーの3月というのは、冬の雨季が終わるか終わらないかという微妙な時期で、早くからSV入りしていた人や、翌週のJTPAカンファレンスまで滞在していた人は実際に体験したと思いますが、時々雨が降ります。でもその後は11月までみなさんが見たような青空が続くわけで、SVツアーをやるからには何を差し置いてもその天候を体験してもらいたいということがありました。その点が達成されただけでも、来てもらったかいがあったというものです(笑)。
ただし準備段階で、Skypeがこれほど浸透していなかったということは大きな誤算でした。大半の人はすでに使っていて、さくさくっとミーティングできるものと思っていたのが大間違いでしたね(^^;)。これは反省材料。
食事についてはあそこまでしなくてもという感じのコメントをいくつかいただきました。むしろもっといい加減なアメリカンなものを体験してみたかったとか。ただしこれも、過去の経験では実際にそうすると、食事がまずかったという不満を言う人が必ず出てくるのです(笑)。そして食べ物の恨みというのはほんとに馬鹿にできないというか、ツアー全体の印象を左右しかねないもので、いかに何度もしつこくこれはあくまでボランティア事業であるといっていても、あれだけ参加費を取っておいてこれかよみたいな、私が知る限り人間というのはそういう生き物なのです(笑)。それが正しいか間違っているかということ以前に、いったんネガティブな印象を持たれたら、悪事でなくても噂が千里を走る可能性があります。一方これは主催者のちょっとした手間次第でいかようにもなることですので、食事に関してはもっと悪くてもよかったという不満(?)が出るくらいでちょうどいいというのが私の考えで、そういう意味ではよかったです。ま、引率の私たちがアメリカンでジャンキーなものとかわざわざ食べたくないというのもありますが(笑)。
ともあれ今回のスケジュールと実際の内容が概ね満足してもらえたようで、とても嬉しく思います。みなさんのフィードバックを読んでいても、そんなふうに感じていたのかとか、そんなことまでも汲み取っていたのかと、教えられ感心させられることしきりです。これだけの人数がいて、年齢も、所属も、興味もそれぞれですから、全員が100%の満足というのはあり得ないわけですが、それでもかなり高い最大公約数に落ち着くことができたのかなと感じています。これもみなさんがすべてのセッションに積極的に臨んでくれたからだと思います。
正直言って、みなさんが思った以上に丁寧なフィードバックをくれたことにとても感激しています。募集案内の応募資格にも書いておいたので、もちろん最初からの約束事ではあるのですが、本来何の拘束力もないことなのに、本当にありがとうございました。なんであそこまで細かくと思われるかも知れませんが、こうすることで協力いただいた方々それぞれにフィードバックを送ることができるからです。あるいは個人的にメール等されているかも知れませんが、まとめたものもあった方がいいと私は思います。さらに今後の改善に向けての貴重な資料となりますし、ポジティブなフィードバックは何よりも励みになります。
これは本当に大事なことで、今後もぜひ継続して、上の人に対しても下の人に対しても、意識してポジティブフィードバックを心がけてもらいたいと思います。ネガティブなことは言われなくても出てくるものですが、ポジティブフィードバックは出そうと意識しないとなかなか出ません。所属する組織(ひいては社会)に活気を与え、イノベーションやブレークスルーを引き出す重要な要素のひとつがポジティブフィードバックのカルチャーだと、私は思います。豚もおだてりゃ木に登るのです。だったらお互いにおだてあって、みんなで木に登りましょう。
最初の自己紹介のところでお知らせしたとおり、私自身のことはウェブ上に全部書いてあるからということで、ツアー中にあらためてトークの時間は設けませんでした。しかしウェブ上で読むのと実際に生の話を聞くのとでは違うのは確かで、本来なら時間を設けてお話ししたいこともないではないのですが、あれだけおもしろい方々がたくさんいて、さらにもう枠がないので今回はご協力をお願いすることができなかった方々がいるのも現実で、できるだけたくさんの方に会ってもらいたいという点を優先させた結果、そういう結論になりました。これは事前に決めたことなので、あの予習シリーズに加えて、私からのメッセージも事前にメールで送っておこうと思って実は少し準備していたのですが、残念ながらそこまでは手が回らずに今回は断念しました。まあそれくらいで分量としてはちょうどよかったかも知れませんね。後でこんなに書いてますし(笑)。
メールでの予習シリーズについては、貴重だった、助かったというコメントをいただきました。送っておいて言うのも何ですが、ずいぶん過保護なことをしたと思っています。これがひとつの大学のシリコンバレー研修であれば、参加者全員を一同に集めて説明会をしたり、事前のセミナーをしたりということができますし、予習シリーズで送ったような内容も、分担して自分たちで調べ、全員にシェアさせるというやり方になります。しかし参加者が文字通り全世界に散らばっていて、ツアーに望むものや、各自が費やせる時間等にも差がある中で、今回は初回ということもあり、あのような形になりました。有志に手を挙げてもらってやってもらうというのも、ひとつの手かも知れませんね。
このツアーは、あくまできっかけや刺激を与えるためのものであって、それ以上のことはできません。ちなみにこのツアーに2回以上参加するというのはあり得ません(つまり受け付けません)。今回何かを感じてもらえたなら、あとはあなた自身が次のアクションを起こすことです。多くの人の記憶に残った、鶴下さんの「一歩踏み出してみる」という言葉、これに尽きると思います。繰り返しになりますが、誰もがシリコンバレーに来ればいいなどということはありません。ただこういう世界もあるということを肌で感じるということは、みなさんがこれからどんな道を歩くにせよ決して無駄にはならないと思います。
フィードバックの中に、私の心の底からの最後の締めが聞きたかったというコメントがありました(お茶を濁してしまって失礼しました ^^;)。みなさんはこの新手の振り込め詐欺かもしれない(笑)ツアーに応募し、金額的にもちょっと思い切りが必要な投資を自分に対して行い、参加するという決心をしたわけです。それだけですでに一歩踏み出しているといえるでしょう。これだけのアンテナ感度を持ち、行動力のあるみなさんがこうして出会い、新しいネットワークを築くことができた。そんなみなさんですから、このツアーで何を得たかとかそんなことには関係なく、必要なときには決断をし、どんな形であれ最終的に悔いのない人生を切り開いて行けるはずですし、ぜひともそうあってください。それが私からのメッセージです。
世界は思ったよりも狭いですから、そのうちまたどこかで会うこともあるでしょうし、その日までおたがいこれからもベストを尽くしていられるといいですね。
2009年4月
赤間 勉
by a-pot
| 2009-04-16 14:19
| 医薬、バイオ関連