2005年 04月 05日
憎まれっ子植物名誉挽回? |
久しぶりにC&ENの記事から。
Water hyacinth(日本名:ホテイアオイ)というのは水草の一種。非常に強い繁殖力で、世界中ほぼどこにでもある。紫色の美しい花をつけるのだけれど、これが世界でも有数の問題児ならぬ問題植物らしい。水辺に浮かびながら猛烈に増えるので、水路をふさぎ、船の交通や水泳、釣りの障害になるとのこと。それだけなら人間のワガママとも言えるが、日光や酸素が水底や水中植物に届くのを妨げて、水界生態系の生物学的多様性を劇的に縮小するという点で問題なのだそうです。
ところがDe Montfort University, Leicester, EnglandのParvez Harisらのグループが、このホテイアオイが砒(ヒ)素で汚染された水をきれいにしてくれることを報告した。
彼らは周辺のホテイアオイを採取し、乾燥し、根を粉末にした。これを1リットルあたり200μgの砒素を含む水に加えたところ、60分以内に砒素の全濃度をWHOの基準である1リットルあたり10μg以下にまで減少させた。具体的には原子吸光分析という方法により、3価の砒素が93%、5価の砒素が95%取り除かれたことが示された。
Harisは言う。「困り者と見なされている植物が一転、世界で最も貧困な人々の救世主になったという発見ができて嬉しい。言うまでもなく、飲み水の砒素汚染に対する安価で効果的な解決は、その地域にふんだんにあるものを使ってなされる必要があるからだ」
植物によって水中の重金属を取り除くというお話は、昨年12月のJBCフォーラムで、大阪大学の室岡先生からもご紹介いただきましたが、こういった環境バイオの技術は今後ますます重要になっていくでしょうね。
Water hyacinth(日本名:ホテイアオイ)というのは水草の一種。非常に強い繁殖力で、世界中ほぼどこにでもある。紫色の美しい花をつけるのだけれど、これが世界でも有数の問題児ならぬ問題植物らしい。水辺に浮かびながら猛烈に増えるので、水路をふさぎ、船の交通や水泳、釣りの障害になるとのこと。それだけなら人間のワガママとも言えるが、日光や酸素が水底や水中植物に届くのを妨げて、水界生態系の生物学的多様性を劇的に縮小するという点で問題なのだそうです。
ところがDe Montfort University, Leicester, EnglandのParvez Harisらのグループが、このホテイアオイが砒(ヒ)素で汚染された水をきれいにしてくれることを報告した。
Naturally occurring arsenic contaminates drinking water in many parts of the world, especially in Bangladesh, where more than 60% of the groundwater contains arsenic concentrations in excess of the WHO guideline value.世界の多くの地域で、天然由来の砒素が飲み水に混入している。特にバングラデシュでは地下水の60%以上がWHOの基準を上回る砒素を含んでいる。
The De Montfort team took water hyacinth plants from a pond in Dhaka, Bangladesh; dried them in air; and prepared a fine powder from the dried roots. Using atomic absorption spectroscopy, they showed that more than 93% of arsenite [As(III)] and 95% of arsenate [As(V)] was removed from a solution containing 200 µg of arsenic per L within 60 minutes of exposure to the powder. The concentration of arsenic remaining in solution was less than the WHO guideline value of 10 µg per L.
彼らは周辺のホテイアオイを採取し、乾燥し、根を粉末にした。これを1リットルあたり200μgの砒素を含む水に加えたところ、60分以内に砒素の全濃度をWHOの基準である1リットルあたり10μg以下にまで減少させた。具体的には原子吸光分析という方法により、3価の砒素が93%、5価の砒素が95%取り除かれたことが示された。
"I'm delighted with the discovery that a plant, regarded as a nuisance, has been turned into a lifesaving material that can help some of the poorest people in the world, not only in Bangladesh, but also in India, Mongolia, Mexico, Chile, and Thailand," Haris says. "It is obvious that an affordable and effective solution to the problem of arsenic in drinking water has to be found using materials that are locally abundant."
Harisは言う。「困り者と見なされている植物が一転、世界で最も貧困な人々の救世主になったという発見ができて嬉しい。言うまでもなく、飲み水の砒素汚染に対する安価で効果的な解決は、その地域にふんだんにあるものを使ってなされる必要があるからだ」
植物によって水中の重金属を取り除くというお話は、昨年12月のJBCフォーラムで、大阪大学の室岡先生からもご紹介いただきましたが、こういった環境バイオの技術は今後ますます重要になっていくでしょうね。
by a-pot
| 2005-04-05 09:05
| 科学一般