2011年 09月 29日
アウトソースに明け暮れた後に・・・ |
先日のエントリーで、研究業務のアウトソーシングをどんどん進めているアメリカの製薬会社には大きな問題があると書きました。今回はそのあたりについて。
研究の現場の仕事の大部分をアウトソースし、こちらでそれをマネージしている人たちは、そうなる以前は自分の手で実験をする研究員でした。企業の研究で、チームやプロジェクトをマネージできるようになるためには、通常ラボなどの現場を含めてそれなりの年数の実務経験を積む必要があります。
創薬研究というのはmulti-disciplinaryなプロジェクトなので、まず自分の専門分野の仕事が独立してできるのは当たり前、そして実際の研究を遂行する過程で、専門以外の分野もある程度理解していく必要があります。創薬研究で言えば、有機化学、分析化学、分子細胞生物学、生化学、薬理学、ゲノミクス、薬物速度論、薬動力学、代謝、毒性、さらには製剤などの各分野をそれなりに理解する必要があります。しかしながら現在、これらの多くがアウトソースされ、自社内で実際に行われる実験が減り、人も少なくなっています。
つまり、将来研究をマネージするべき人材が、研究の現場からどんどんいなくなる、人材の空洞化が起こりつつあるのです。これは最もアウトソースが進んでいる合成化学の部門で最も顕著になるでしょう。
現在は、すべてを自社内でやる昔のやり方から、(ほとんど)すべてをアウトソースで進めるやり方への移行期(それも中期から後期)です。この流れがこのまま進むと、欧米の製薬企業では今から10-15年後あたりに、しっかりした実務経験に基づいて研究プロジェクトの現場をマネージできる人材が枯渇する可能性があります。いや私はきっと枯渇すると思います。
そうなったときに誰にチャンスが来るのか?
もしかしたら貴重な人材のプールとなるのが、現在のアウトソースのトレンドに深入りせず、自前主義を基本に自社内完結型の研究体制をキープし続けた日本企業かも知れません。そういう体制を維持すればの話ですが。
今から10-15年後だとすると、今まさに大学生、大学院生のみなさんがシニアな研究員か若手管理職として研究チームを引っ張っている頃でしょう。その頃に欧米の大手企業にビッグなopportunityがあったとして、それをつかむためには今からどういう準備をしておけばいいでしょうか?
あるいはその頃までにようやく、日本企業と中国のCROとの関係が今よりずっと深まっているかも知れません。そうなると、むしろ中国にいいopportunityがあるかも知れません。
もちろんそれらは果たしてつかむべきチャンスなのかどうかという問題もありますが(笑)、将来海外に何らかのチャンスが生じる可能性は十分あると思います。そのときにそれをつかめる自分でいられるかどうか、つまりそういったチャンスが自分の選択肢であり得るかどうか。結果的にそれを選ばなくてもいいわけですが、選びたいと思っても、その時になってから急に準備できることではないかも知れません。
もちろん先日も書いたように、コスト構造とバランスが変わって、外に出してた仕事が戻ってくる可能性もないとは言えません。CROが集中する上海や北京あたりは、住居費、生活費がバブリーな高騰を続けていて、今までのような賃金ではみんな暮らしていけなくなりつつあり、あきらめて地方都市に脱出する人も増えているとか。状況は日々刻々と変化しています。
普段の私は、10年先なんで考えたってわかるわけないんだから、特に若いうちはとにかく目の前のことを一所懸命やるのがよいというようなことを言っているのですが、それは若かった頃に世の中のことが全く見えていなかった自分を単に正当化したいだけなのかも知れません(^^;)。
考えすぎて動けないというのはどこか本末転倒でしょうが、考えること自体が悪いことであるはずはありません。考えに考えて、これだと思う道、あるいは直感があるならば、そんな自分を信じて行動に移してみる、一歩を踏み出してみればいいと思います。なんといっても一度きりの人生だからね。
研究の現場の仕事の大部分をアウトソースし、こちらでそれをマネージしている人たちは、そうなる以前は自分の手で実験をする研究員でした。企業の研究で、チームやプロジェクトをマネージできるようになるためには、通常ラボなどの現場を含めてそれなりの年数の実務経験を積む必要があります。
創薬研究というのはmulti-disciplinaryなプロジェクトなので、まず自分の専門分野の仕事が独立してできるのは当たり前、そして実際の研究を遂行する過程で、専門以外の分野もある程度理解していく必要があります。創薬研究で言えば、有機化学、分析化学、分子細胞生物学、生化学、薬理学、ゲノミクス、薬物速度論、薬動力学、代謝、毒性、さらには製剤などの各分野をそれなりに理解する必要があります。しかしながら現在、これらの多くがアウトソースされ、自社内で実際に行われる実験が減り、人も少なくなっています。
つまり、将来研究をマネージするべき人材が、研究の現場からどんどんいなくなる、人材の空洞化が起こりつつあるのです。これは最もアウトソースが進んでいる合成化学の部門で最も顕著になるでしょう。
現在は、すべてを自社内でやる昔のやり方から、(ほとんど)すべてをアウトソースで進めるやり方への移行期(それも中期から後期)です。この流れがこのまま進むと、欧米の製薬企業では今から10-15年後あたりに、しっかりした実務経験に基づいて研究プロジェクトの現場をマネージできる人材が枯渇する可能性があります。いや私はきっと枯渇すると思います。
そうなったときに誰にチャンスが来るのか?
もしかしたら貴重な人材のプールとなるのが、現在のアウトソースのトレンドに深入りせず、自前主義を基本に自社内完結型の研究体制をキープし続けた日本企業かも知れません。そういう体制を維持すればの話ですが。
今から10-15年後だとすると、今まさに大学生、大学院生のみなさんがシニアな研究員か若手管理職として研究チームを引っ張っている頃でしょう。その頃に欧米の大手企業にビッグなopportunityがあったとして、それをつかむためには今からどういう準備をしておけばいいでしょうか?
あるいはその頃までにようやく、日本企業と中国のCROとの関係が今よりずっと深まっているかも知れません。そうなると、むしろ中国にいいopportunityがあるかも知れません。
もちろんそれらは果たしてつかむべきチャンスなのかどうかという問題もありますが(笑)、将来海外に何らかのチャンスが生じる可能性は十分あると思います。そのときにそれをつかめる自分でいられるかどうか、つまりそういったチャンスが自分の選択肢であり得るかどうか。結果的にそれを選ばなくてもいいわけですが、選びたいと思っても、その時になってから急に準備できることではないかも知れません。
もちろん先日も書いたように、コスト構造とバランスが変わって、外に出してた仕事が戻ってくる可能性もないとは言えません。CROが集中する上海や北京あたりは、住居費、生活費がバブリーな高騰を続けていて、今までのような賃金ではみんな暮らしていけなくなりつつあり、あきらめて地方都市に脱出する人も増えているとか。状況は日々刻々と変化しています。
普段の私は、10年先なんで考えたってわかるわけないんだから、特に若いうちはとにかく目の前のことを一所懸命やるのがよいというようなことを言っているのですが、それは若かった頃に世の中のことが全く見えていなかった自分を単に正当化したいだけなのかも知れません(^^;)。
考えすぎて動けないというのはどこか本末転倒でしょうが、考えること自体が悪いことであるはずはありません。考えに考えて、これだと思う道、あるいは直感があるならば、そんな自分を信じて行動に移してみる、一歩を踏み出してみればいいと思います。なんといっても一度きりの人生だからね。
by a-pot
| 2011-09-29 13:58
| 医薬、バイオ関連