2013年 08月 14日
新薬の開発にはいくらかかるのか? |
Derekのブログで取り上げられていた、How Much to Develop a Drug? An Updateの内容を紹介します。といっても実際のネタ元はこちら。
ひとつの新薬ができるのにいったいいくらかかるのか?は、多くの人が持っている疑問のひとつ。かなりざっくりとしたものではありますが、その答にかなり迫っているのが、引用元のForbesの記事です。
Matthew Herperという記者が、ある10年間(どの10年間かはわかりませんが、ほぼ2000年以降ではないかと推測)にFDAから認可された新薬の数と、それらを開発した100社の、上記の1年前から始まる10年間の研究開発費(つまり新薬承認の調査期間が2001年から2010年だとしたら、研究開発費の調査期間は2000年から2009年ということ)を調べ上げ、一覧表にするとともに、会社ごとの新薬ひとつあたりのコストを計算しています。
そのリストによれば、一品目当たりのR&D費用はたとえばSanofiは$10B(約1兆円)、AstraZenecaは$9B、Pfizerは$7.8B、Takedaは$6Bといった具合。この数字は低ければ低いほど研究開発の効率がいいといえますが、医薬だけでなく医療機器その他のビジネスも行っている会社もけっこうあり、そういう場合は医薬以外のR&D費用も含まれているので、見かけ上効率が悪くなる会社もあります。
調査期間に3品以上を上市した会社のcost/drugの平均は$4.2B、4品以上を上市した会社(かなりの大手に絞られる)だと$5.3Bであるのに対し、1品目しか上市していない会社(これが100社中66社を占める)に絞ると、$351M(約350億円)と金額が一桁下がります。いわゆるメガファーマほど新薬あたりのコストがかかっているように見えます。
しかし!大手のコストにはあらゆる失敗プロジェクトが含まれています。1品目しか開発できていない会社はむしろ、ひとつでも開発に成功したラッキーなベンチャーとも考えられ、ここには現れない、もっともっと多くの、「10年間上市ゼロ」の会社のR&D費用はおそらく相当な額に上っていると考えられます。また小さな会社の場合、お金がかかる後期の開発は大手に委ねている場合も多いので、その分は大手のコストに含まれます。なのでこれらの数字をもって、ベンチャーの方が効率がいいと単純に結論づけることはできません。
データが表形式になっていたので、エクセルにコピペして、ちょっと計算してみると、表中の新薬のトータル数は227、経費のトータルが$822Bに上ります。単純に割り算すると、新薬ひとつあたりのコストは$3.6B(約3.6兆円 訂正:3600億円)となります。あくまで平均値ということですが。しばらく前に$800M(800億円)くらいじゃね?なんて言われていた時期もあったんですが、どうもそれでは足りないようで・・・。
要はまったく失敗しなければ、ひとつあたり$350Mくらいでできるのかも知れませんが、臨床入りしても薬になるのは20分の1程度(昔は10分の1と言われてたけど)とのことなので、最終的なcost/drugとしては実際の10倍くらいの値になってしまうのか、と考えると何となく納得できるような気も。
こういった数字がどれだけ正確なものかは誰にもわかりませんが、それでもそんなに大きく外れていることもないように思います。大手がブロックバスター(年間売り上げ$1B以上の製品)候補しか開発したがらないのも当然ということですね。
それにしても気が遠くなるような数字ですね~。
ひとつの新薬ができるのにいったいいくらかかるのか?は、多くの人が持っている疑問のひとつ。かなりざっくりとしたものではありますが、その答にかなり迫っているのが、引用元のForbesの記事です。
Matthew Herperという記者が、ある10年間(どの10年間かはわかりませんが、ほぼ2000年以降ではないかと推測)にFDAから認可された新薬の数と、それらを開発した100社の、上記の1年前から始まる10年間の研究開発費(つまり新薬承認の調査期間が2001年から2010年だとしたら、研究開発費の調査期間は2000年から2009年ということ)を調べ上げ、一覧表にするとともに、会社ごとの新薬ひとつあたりのコストを計算しています。
そのリストによれば、一品目当たりのR&D費用はたとえばSanofiは$10B(約1兆円)、AstraZenecaは$9B、Pfizerは$7.8B、Takedaは$6Bといった具合。この数字は低ければ低いほど研究開発の効率がいいといえますが、医薬だけでなく医療機器その他のビジネスも行っている会社もけっこうあり、そういう場合は医薬以外のR&D費用も含まれているので、見かけ上効率が悪くなる会社もあります。
調査期間に3品以上を上市した会社のcost/drugの平均は$4.2B、4品以上を上市した会社(かなりの大手に絞られる)だと$5.3Bであるのに対し、1品目しか上市していない会社(これが100社中66社を占める)に絞ると、$351M(約350億円)と金額が一桁下がります。いわゆるメガファーマほど新薬あたりのコストがかかっているように見えます。
しかし!大手のコストにはあらゆる失敗プロジェクトが含まれています。1品目しか開発できていない会社はむしろ、ひとつでも開発に成功したラッキーなベンチャーとも考えられ、ここには現れない、もっともっと多くの、「10年間上市ゼロ」の会社のR&D費用はおそらく相当な額に上っていると考えられます。また小さな会社の場合、お金がかかる後期の開発は大手に委ねている場合も多いので、その分は大手のコストに含まれます。なのでこれらの数字をもって、ベンチャーの方が効率がいいと単純に結論づけることはできません。
データが表形式になっていたので、エクセルにコピペして、ちょっと計算してみると、表中の新薬のトータル数は227、経費のトータルが$822Bに上ります。単純に割り算すると、新薬ひとつあたりのコストは$3.6B(約
要はまったく失敗しなければ、ひとつあたり$350Mくらいでできるのかも知れませんが、臨床入りしても薬になるのは20分の1程度(昔は10分の1と言われてたけど)とのことなので、最終的なcost/drugとしては実際の10倍くらいの値になってしまうのか、と考えると何となく納得できるような気も。
こういった数字がどれだけ正確なものかは誰にもわかりませんが、それでもそんなに大きく外れていることもないように思います。大手がブロックバスター(年間売り上げ$1B以上の製品)候補しか開発したがらないのも当然ということですね。
それにしても気が遠くなるような数字ですね~。
by a-pot
| 2013-08-14 13:17
| 医薬、バイオ関連