2005年 07月 10日
あのベンチャーは今 |
2年余り前に新しいポジションを探していたときに、5つの会社にインタビューに行って、そのうち2つからオファーをもらった。オファーをくれなかった会社のうちひとつ(とりあえずT社としておきます)が、しばらく前にクローズして(なくなって)いたのだそうだ。やーいざまーみろとかそんなことを言いたいのでは決してないんです。それを聞いて、私自身もちょっと反省することがあったので。
インタビューに行った時、T社はまだできたばかりで、実験室などもセットアップ中。ちょうど今いるAnacor社の当時と同じようなステージだった。そこのケミストリーのヘッドは、あるメガファーマ出身で、同じ会社から移って来ていたRA(Research Associate)といっしょに、すごい立派なラボシステムを構築している真っ最中。おー、アメリカの最先端の製薬会社はこういうふうにしているのかー、と感心したものだった。でも大手と違ってスタートアップはお金が非常に限られている。大手にいた時と同じような調子でラボをセットアップしていったら、ちょっとお金がかかり過ぎることになる。トータルの出費から見れば、誤差範囲かも知れない。でもこういうことは一事が万事。少しずつ出費をを削っていくのと、少しずつ余分に使ってしまうのとでは、バイオベンチャーの場合、年間でミリオン単位の差が出てしまいかねない。もちろんそれがすべてではないだろうけど、会社の顛末を聞いて、そんなことをちょっと思った。
私にオファーをくれたAnacor社のやり方は、T社とほぼ同じようなステージにあり、おそらくお金はもう少したくさんあったにも関わらず、基本的にすっごいケチケチだった。Medicinal chemistにとっての必須アイテム、Chemdrawというソフトウェアさえ、しばらく買ってくれなかったのだ。しかも買ってもらえたのは一番安い最低version。こんなの個人でも買ってるよ。あー、T社に行っていたらもっとずっと充実した設備と環境で仕事ができたのに・・・などと思ったものである。でも今となっては、当社の経営方針は正しかったのだと思わざるを得ない。よく聞くことではあるけれど、スタートアップは、本当に最小限の出費で運営していくべきなのだと思い知った。大企業経験者にとっては、不便を感じるくらいの環境が適正なのだろう。今お金があるからといって、将来も同じように得られるとは限らない。実際当社でも、期待していた資金が得られなくなるという経験もしたし。でもこれって実際問題、言うは易し、行うは難しである。うちのCEOも、バイオとドットコムのバブルを経験したからこそ、できているのかも知れない。
もうひとつ、当時魅力的なオープンポジションがあって、レジュメを送ってみたけれどインタビューまでいかなかった会社がある。この会社も将来有望なスタートアップに見えたのだけれど、その後1年くらいでクローズしてしまった。
ちなみにインタビューに行ったけれどオファーをくれなかったあと2つの会社のうち、ひとつは当時既にpublicだった会社で、今も一応健在。でもこの2年間で、何度もレイオフをしている。もうひとつは当時privateだったけれど、昨年IPOを果たした。ここに行っていれば、一番手っ取り早いリターンが得られたことになるけど、株価の方は、現在IPOプライスを大きく割り込んでいる。
オファーをくれた方のもうひとつの会社(private)は、一応まだsurviveしているけれど、ちょっと厳しい状況になっているように見える。
人生いろいろ、ベンチャーもいろいろ。という例でした。
インタビューに行った時、T社はまだできたばかりで、実験室などもセットアップ中。ちょうど今いるAnacor社の当時と同じようなステージだった。そこのケミストリーのヘッドは、あるメガファーマ出身で、同じ会社から移って来ていたRA(Research Associate)といっしょに、すごい立派なラボシステムを構築している真っ最中。おー、アメリカの最先端の製薬会社はこういうふうにしているのかー、と感心したものだった。でも大手と違ってスタートアップはお金が非常に限られている。大手にいた時と同じような調子でラボをセットアップしていったら、ちょっとお金がかかり過ぎることになる。トータルの出費から見れば、誤差範囲かも知れない。でもこういうことは一事が万事。少しずつ出費をを削っていくのと、少しずつ余分に使ってしまうのとでは、バイオベンチャーの場合、年間でミリオン単位の差が出てしまいかねない。もちろんそれがすべてではないだろうけど、会社の顛末を聞いて、そんなことをちょっと思った。
私にオファーをくれたAnacor社のやり方は、T社とほぼ同じようなステージにあり、おそらくお金はもう少したくさんあったにも関わらず、基本的にすっごいケチケチだった。Medicinal chemistにとっての必須アイテム、Chemdrawというソフトウェアさえ、しばらく買ってくれなかったのだ。しかも買ってもらえたのは一番安い最低version。こんなの個人でも買ってるよ。あー、T社に行っていたらもっとずっと充実した設備と環境で仕事ができたのに・・・などと思ったものである。でも今となっては、当社の経営方針は正しかったのだと思わざるを得ない。よく聞くことではあるけれど、スタートアップは、本当に最小限の出費で運営していくべきなのだと思い知った。大企業経験者にとっては、不便を感じるくらいの環境が適正なのだろう。今お金があるからといって、将来も同じように得られるとは限らない。実際当社でも、期待していた資金が得られなくなるという経験もしたし。でもこれって実際問題、言うは易し、行うは難しである。うちのCEOも、バイオとドットコムのバブルを経験したからこそ、できているのかも知れない。
もうひとつ、当時魅力的なオープンポジションがあって、レジュメを送ってみたけれどインタビューまでいかなかった会社がある。この会社も将来有望なスタートアップに見えたのだけれど、その後1年くらいでクローズしてしまった。
ちなみにインタビューに行ったけれどオファーをくれなかったあと2つの会社のうち、ひとつは当時既にpublicだった会社で、今も一応健在。でもこの2年間で、何度もレイオフをしている。もうひとつは当時privateだったけれど、昨年IPOを果たした。ここに行っていれば、一番手っ取り早いリターンが得られたことになるけど、株価の方は、現在IPOプライスを大きく割り込んでいる。
オファーをくれた方のもうひとつの会社(private)は、一応まだsurviveしているけれど、ちょっと厳しい状況になっているように見える。
人生いろいろ、ベンチャーもいろいろ。という例でした。
by a-pot
| 2005-07-10 11:49
| 医薬、バイオ関連