2006年 05月 28日
AN2690という薬剤について |
先日、当社は宣伝モードですと書きましたが、現在本格的に日本の製薬会社とのpartneringを目指しています。
すでに多くの会社が興味を示してくださり、わざわざ当地まで足を運んでくださったところもありますが、現在臨床開発中の当社製品の可能性について、まだ完全にご理解いただけていない、あるいはご賛同いただけていない部分もあるように思われます。もちろんまだ臨床治験が完了して認可されたわけではないので、最後はどうなるかわかりません。でもライセンシングというのはそういう段階で決断しないといいモノは取れないわけですから、リスクとベネフィットのバランスを私共といっしょに考えていただきたいと思います。
平行していくつかの案件が進行中ですが、一番注力しているのはAN2690と呼んでいる、爪白癬の治療薬です。爪白癬というのは、いわゆる水虫菌であるT. rubremやT. mentagrophytesといった名前の白癬菌が爪に感染し、爪が肥厚したり変色したり、ぼろぼろになったりする病気です。今や水虫は市販(OTC)の塗り薬でもほとんど治すことができますが、これが爪に入ってしまうと塗り薬では治りません。これは現在の塗り薬が爪にほとんど浸透していかないからです。一部の外国ではネイルラッカー製剤という塗り薬も売られているのですが、ほとんど効きません。なので爪白癬は日本では飲み薬のみが認可されています。
日本ではterbinafine(ラミシールという名前で広く知られています)とitraconazole(イトリゾールなどとして売られています)の2剤が経口で使われています。これらはともにけっこうよく効くのですが、肝臓などに障害が出る場合もあり、肝機能検査などが必要になる場合もあります。
これに対してAN2690は、「薬は爪に浸透しない」という従来の常識を打ち破る高い爪浸透性があり、かつ強力な抗白癬菌作用があるので、塗って治せる画期的な爪白癬治療薬になることが期待されています。すでにPhase IIa試験が進行中で、目に見える効果が確認され始めています。
日本人の10%前後がこの爪白癬に罹患しているというデータもありますし、特に40歳代以降、急激に罹患率が上がります。しかしながら、実際に皮膚科を訪ね、治療を受けている患者さんは20%程度と言われています。
全身投与が不要で内臓への副作用が限りなくゼロに近く、爪に塗るだけで飲み薬と同等以上の効果があるとすれば、この病気の治療の概念もまた塗り替えられる可能性があるわけです。水虫と同様、塗るだけで治るということが広く知られるようになれば、この病気についてそもそもあまり認識していなかった患者さんへの認知も広がり、今まで皮膚科を訪れるのをためらっていた患者さんも含めて、広く気軽に治療を受けられるようになっていくのではないかと思っています。
そういうわけで、これから私も当社のbusiness developmentチームに加わり、日本語で日本の製薬会社さんにアプローチしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします(^^)。
追記: ちょっと検索してみたら、日本語のこんな記事も出てました。
すでに多くの会社が興味を示してくださり、わざわざ当地まで足を運んでくださったところもありますが、現在臨床開発中の当社製品の可能性について、まだ完全にご理解いただけていない、あるいはご賛同いただけていない部分もあるように思われます。もちろんまだ臨床治験が完了して認可されたわけではないので、最後はどうなるかわかりません。でもライセンシングというのはそういう段階で決断しないといいモノは取れないわけですから、リスクとベネフィットのバランスを私共といっしょに考えていただきたいと思います。
平行していくつかの案件が進行中ですが、一番注力しているのはAN2690と呼んでいる、爪白癬の治療薬です。爪白癬というのは、いわゆる水虫菌であるT. rubremやT. mentagrophytesといった名前の白癬菌が爪に感染し、爪が肥厚したり変色したり、ぼろぼろになったりする病気です。今や水虫は市販(OTC)の塗り薬でもほとんど治すことができますが、これが爪に入ってしまうと塗り薬では治りません。これは現在の塗り薬が爪にほとんど浸透していかないからです。一部の外国ではネイルラッカー製剤という塗り薬も売られているのですが、ほとんど効きません。なので爪白癬は日本では飲み薬のみが認可されています。
日本ではterbinafine(ラミシールという名前で広く知られています)とitraconazole(イトリゾールなどとして売られています)の2剤が経口で使われています。これらはともにけっこうよく効くのですが、肝臓などに障害が出る場合もあり、肝機能検査などが必要になる場合もあります。
これに対してAN2690は、「薬は爪に浸透しない」という従来の常識を打ち破る高い爪浸透性があり、かつ強力な抗白癬菌作用があるので、塗って治せる画期的な爪白癬治療薬になることが期待されています。すでにPhase IIa試験が進行中で、目に見える効果が確認され始めています。
日本人の10%前後がこの爪白癬に罹患しているというデータもありますし、特に40歳代以降、急激に罹患率が上がります。しかしながら、実際に皮膚科を訪ね、治療を受けている患者さんは20%程度と言われています。
全身投与が不要で内臓への副作用が限りなくゼロに近く、爪に塗るだけで飲み薬と同等以上の効果があるとすれば、この病気の治療の概念もまた塗り替えられる可能性があるわけです。水虫と同様、塗るだけで治るということが広く知られるようになれば、この病気についてそもそもあまり認識していなかった患者さんへの認知も広がり、今まで皮膚科を訪れるのをためらっていた患者さんも含めて、広く気軽に治療を受けられるようになっていくのではないかと思っています。
そういうわけで、これから私も当社のbusiness developmentチームに加わり、日本語で日本の製薬会社さんにアプローチしていきますので、どうぞよろしくお願いいたします(^^)。
追記: ちょっと検索してみたら、日本語のこんな記事も出てました。
by a-pot
| 2006-05-28 07:35
| 医薬、バイオ関連