2007年 10月 19日
ポスドク問題 |
私自身ポスドク経験はないのですが、JBCを通じて、また東北大学での仕事を通じて、さらにはベイエリアに日本人を増やすという自分のゴールにも照らし合わせながら、私なりにもずっと考えてきた問題です。何か書こうと思いながら、なかなか考えがまとまらずにいました。
しばらく前に、日本でポスドク1万人計画というものが打ち出されて、実際に1万人を超えるポスドクが生み出されました。運悪くその後日本経済が低迷したこともありますが、問題はその後をどうするかがあまり真剣に考えられていなかったところにあります。
長い話を短くいえば、要するにポスドク後の行き先がなかなか見つからないということです。
当事者ではないので他人事のようで申し訳ないのですが、現実問題として、悪いのが政府であれ文科省であれ、他人を責めていても短期的には何も解決しないのだから、自分の人生は自分で何とかして切り開いて欲しいと思っています。
でも問題は解決すべきですから、何とかする必要があります。この問題はあちこちで議論されてきていますが、東北大学の大隅教授も、以前からこの問題に関して言及されていて、最近の、このエントリーで、具体的な提言をされています。その中で「岡本の公式」というのを紹介されています。これは「PIになれる確率の計算方法」なのだそうです。
もう少し引用させていただくと、
とのことで、本当にその通りだと思います。ではどうするか。大隅教授は、「大学・大学院教員を増やすべき」、もう一つの出口は「初等中等教員」とおっしゃいます。
大学のポジションが削減されているのが問題となる原因のひとつなのですが、正直私は、それは決定した路線で、アカデミアのポストを増やすなんてはなから無理なものと思っていました。でも考えてみればこれは国や大学がお金を節約したいだけであって、本当に大学のためになるかというとはなはだ疑問でもあり、本当にあるべき姿は大学教員の数を増やすべきというのはまさに正鵠を得た議論だと思います。
もう一点の、小中高校の先生を高学歴化するという提言も、その通りと思います。いわゆる学校の先生というのは、その国の将来をも左右し得る、本当に重要な仕事であるにも関わらず、その質が低下し続けているというのは問題です。人間として学歴がすべてなどというつもりは毛頭ありませんが、学校の先生となる人にはそれなりの学歴も必須であるべきで、基本的にその基準は上げていくべきものだと思います。
ポスドクに戻りますと、私はアカデミアははなからあきらめ、どうすればポスドクを民間企業で有効活用することができるようになるのだろうかという方向ばかり考えていたのですが、言われてみれば本来アカデミア志向が強い研究者なのですから、アカデミアの研究体制を増強するのが一番理にかなっているのでしょう。
ただしいずれにせよ、確率が1になることは基本的にありえないわけですから、自分の人生は自分で切り開かなければならないということに変わりはありません。がんばれポスドクのみなさん!
しばらく前に、日本でポスドク1万人計画というものが打ち出されて、実際に1万人を超えるポスドクが生み出されました。運悪くその後日本経済が低迷したこともありますが、問題はその後をどうするかがあまり真剣に考えられていなかったところにあります。
長い話を短くいえば、要するにポスドク後の行き先がなかなか見つからないということです。
当事者ではないので他人事のようで申し訳ないのですが、現実問題として、悪いのが政府であれ文科省であれ、他人を責めていても短期的には何も解決しないのだから、自分の人生は自分で何とかして切り開いて欲しいと思っています。
でも問題は解決すべきですから、何とかする必要があります。この問題はあちこちで議論されてきていますが、東北大学の大隅教授も、以前からこの問題に関して言及されていて、最近の、このエントリーで、具体的な提言をされています。その中で「岡本の公式」というのを紹介されています。これは「PIになれる確率の計算方法」なのだそうです。
A: 1年に空く独立したポジション
=[X: 独立した研究室の数]/[Y:独立した研究者の平均在籍年数]
B:1年に新しく加わる人数
=[N:1研究室が1年あたりに新たに取る学生の平均数]x[X:独立した研究室の数]
C:新人が将来独立できる確率
=A/B
=「X/Y」/[NxX]
=1/[NxY]
結局Xの数がいくつであれ、独立できる確率は「研究室が1年あたりに新たに取る学生の平均数」と「独立した研究者の平均在籍年数」の積に逆比例するということです。
例えば、最近のように若手PIをどんどん推進すると、Yの値が20年くらいになり、もしNが平均2名だとすると、独立できる確率が1/(2x20)=1/40ということになります。
もう少し引用させていただくと、
現時点においては、40名に1名のPI候補者だけでなく、39名の将来を真剣に考えることがどうしても必要なのです。
重点化は、有馬先生は全国どの大学でも行うとは意図していなかった、というお話でしたが、文科省と大学はともにこの39名の将来を考える責任があると私は思います。
とのことで、本当にその通りだと思います。ではどうするか。大隅教授は、「大学・大学院教員を増やすべき」、もう一つの出口は「初等中等教員」とおっしゃいます。
大学のポジションが削減されているのが問題となる原因のひとつなのですが、正直私は、それは決定した路線で、アカデミアのポストを増やすなんてはなから無理なものと思っていました。でも考えてみればこれは国や大学がお金を節約したいだけであって、本当に大学のためになるかというとはなはだ疑問でもあり、本当にあるべき姿は大学教員の数を増やすべきというのはまさに正鵠を得た議論だと思います。
もう一点の、小中高校の先生を高学歴化するという提言も、その通りと思います。いわゆる学校の先生というのは、その国の将来をも左右し得る、本当に重要な仕事であるにも関わらず、その質が低下し続けているというのは問題です。人間として学歴がすべてなどというつもりは毛頭ありませんが、学校の先生となる人にはそれなりの学歴も必須であるべきで、基本的にその基準は上げていくべきものだと思います。
ポスドクに戻りますと、私はアカデミアははなからあきらめ、どうすればポスドクを民間企業で有効活用することができるようになるのだろうかという方向ばかり考えていたのですが、言われてみれば本来アカデミア志向が強い研究者なのですから、アカデミアの研究体制を増強するのが一番理にかなっているのでしょう。
ただしいずれにせよ、確率が1になることは基本的にありえないわけですから、自分の人生は自分で切り開かなければならないということに変わりはありません。がんばれポスドクのみなさん!
by a-pot
| 2007-10-19 14:57
| アメリカでの就職、キャリア関連