2007年 10月 24日
海外の企業で働くには |
ポスドクの進路に関するひとつ前のエントリーに
というコメントをいただきました。
私はぜひそうあって欲しいと思っています。ではアメリカの場合、実際にどうしたらいいのかという時に、現在最大の問題となるのは本人の実力とか英語力とかではなく、実はビザステータスなのです。
以前はいわゆる就労ビザ(H1-Bビザ)が比較的簡単に取れて、それで働きながらグリーンカード(永住権)の申請をするというのが一般的でした。ところが現在、H1-Bビザの発給枠(年間6万5千件)を大幅に上回る申請があり、抽選の上で審査される状況になっています。さらに問題なのは、4月に受付が始まるのに、ビザが有効となるのは10月からで、半年も待つ必要があることです。
こちらの企業の採用は「随時」なので、通常はオファーを出してから6ヶ月も待つことはありません。しかもビザが取れるかどうかの過程に抽選が入るとあっては、すでに有効なビザステータスを持っていない人に対してオファーを出すことは基本的にあり得ません。
ではどうすれば道が開けるのか。
現在最も確実かつ唯一の方法は、何とかしてアメリカの永住権を取得することです。永住権を取得する方法は何種類かあります。例えばアメリカ国籍の人と結婚するというのもひとつです。抽選に応募するのもひとつです。アメリカは移民の国ですので、人種の多様性を維持するというポリシーから、ある数の永住権をランダムに与える抽選というチャンスが年1回あります。どこの国からでも応募できるわけではありませんが、幸い日本はこのプログラムの対象になっているので、日本にいながらでも応募することができます。私も抽選で当たったから来たという人に何人も会っています。ただしこれらの方法で永住権を取得しても、アメリカで仕事が得られる保証は残念ながらどこにもありません。
ポスドク等の研究者の場合、セルフサポートで申請する方法もあります。簡単に言えば、自分がアメリカの国益にいかに貢献できる人材であるかを主張して、永住権を得るというものです。特にバイオ系の研究職の場合、現在はこれが最も一般的な方法になっています。他のアジア諸国から来ているポスドクのみなさんは、そのあたりをよく理解しているので、早くから永住権の申請を開始する傾向があります。
日本の研究者は総じて大変優秀ですから、逆に言えば永住権さえ取ることができれば、こちらの企業にとっても非常にcompetitiveなcandidateとなり得るわけです。でもすでにこちらにいるポスドクのみなさんの間でも、永住権取得の重要性がいまひとつ理解されていないところがあるようです。これから来る方々は、ぜひ最初から永住権取得を念頭において欲しいと思います。仕事のあるなしに関わらず、日本に帰るのはいつでもできます。でも数年後、もしかしてこちらに残りたいと思ったときにこの備えをしていないと、アメリカに滞在すること自体が非常に難しくなるのです。
どのようなタイミング、どのような経緯で渡米するにせよ、この点をしっかり把握して、貴重な時間を無駄にしないようにしていただきたいと思います。
海外の民間企業に研究職や関連の仕事を求めていくという方向は増えていかないものでしょうか。
というコメントをいただきました。
私はぜひそうあって欲しいと思っています。ではアメリカの場合、実際にどうしたらいいのかという時に、現在最大の問題となるのは本人の実力とか英語力とかではなく、実はビザステータスなのです。
以前はいわゆる就労ビザ(H1-Bビザ)が比較的簡単に取れて、それで働きながらグリーンカード(永住権)の申請をするというのが一般的でした。ところが現在、H1-Bビザの発給枠(年間6万5千件)を大幅に上回る申請があり、抽選の上で審査される状況になっています。さらに問題なのは、4月に受付が始まるのに、ビザが有効となるのは10月からで、半年も待つ必要があることです。
こちらの企業の採用は「随時」なので、通常はオファーを出してから6ヶ月も待つことはありません。しかもビザが取れるかどうかの過程に抽選が入るとあっては、すでに有効なビザステータスを持っていない人に対してオファーを出すことは基本的にあり得ません。
ではどうすれば道が開けるのか。
現在最も確実かつ唯一の方法は、何とかしてアメリカの永住権を取得することです。永住権を取得する方法は何種類かあります。例えばアメリカ国籍の人と結婚するというのもひとつです。抽選に応募するのもひとつです。アメリカは移民の国ですので、人種の多様性を維持するというポリシーから、ある数の永住権をランダムに与える抽選というチャンスが年1回あります。どこの国からでも応募できるわけではありませんが、幸い日本はこのプログラムの対象になっているので、日本にいながらでも応募することができます。私も抽選で当たったから来たという人に何人も会っています。ただしこれらの方法で永住権を取得しても、アメリカで仕事が得られる保証は残念ながらどこにもありません。
ポスドク等の研究者の場合、セルフサポートで申請する方法もあります。簡単に言えば、自分がアメリカの国益にいかに貢献できる人材であるかを主張して、永住権を得るというものです。特にバイオ系の研究職の場合、現在はこれが最も一般的な方法になっています。他のアジア諸国から来ているポスドクのみなさんは、そのあたりをよく理解しているので、早くから永住権の申請を開始する傾向があります。
日本の研究者は総じて大変優秀ですから、逆に言えば永住権さえ取ることができれば、こちらの企業にとっても非常にcompetitiveなcandidateとなり得るわけです。でもすでにこちらにいるポスドクのみなさんの間でも、永住権取得の重要性がいまひとつ理解されていないところがあるようです。これから来る方々は、ぜひ最初から永住権取得を念頭において欲しいと思います。仕事のあるなしに関わらず、日本に帰るのはいつでもできます。でも数年後、もしかしてこちらに残りたいと思ったときにこの備えをしていないと、アメリカに滞在すること自体が非常に難しくなるのです。
どのようなタイミング、どのような経緯で渡米するにせよ、この点をしっかり把握して、貴重な時間を無駄にしないようにしていただきたいと思います。
by a-pot
| 2007-10-24 14:49
| アメリカでの就職、キャリア関連