2005年 02月 20日
Oxygen gives new life to art |
1ヶ月ほど前になるが、いつものC&ENの このニュース。NASAのテクノロジーが火事で煤にまみれた絵画を救うという話。
いわゆる酸素というのは、通常酸素原子がふたつつながったO2という分子として存在している。ところが地上200から500マイル(320から800 km)上空では、太陽光による強力な紫外線照射により、酸素分子が光分解を受けて、原子酸素(酸素ラジカル)が生じる。
この原子酸素は非常に反応性が高く、人工衛星や宇宙ステーションの外側の物質を傷めてしまう可能性がある。ClevelandのNASA's Glenn Research Centerというところの科学者が、真空中、無線電場(?)を用いて、地上でこの状態を人工的に作り出し、それに耐え得る物質を調べていたところ、この原子酸素が、人工衛星の材料の表面から、有機物質を除去する作用があることを見つけた。これはNASAにとっては悪いニュースだったが、このことを、同じくClevelandにあるMuseum of Artの職員と話した後、これが火災などの煙でダメージを受けた美術作品の再生につかえるかも知れないと気がついた。そういった作品は、これまで知られている方法では再生不可能なのだった。
実際、彼らは火災で煤まみれになり、これまでどんな方法でも再生不可能だった絵画をたくさん保有しており、それらはすごい価値のものでもなかったので、失うものはないということで、この原子酸素による方法を試してみることにした。
するとどうだろう、この酸素処理はとんでもなくうまくいった。酸素ラジカルが、絵の表面についた煤(炭素)を、1酸化炭素または2酸化炭素に変換して、きれいに取り除いてくれたのだ。完全な気相処理なので、絵画には一切触れることなく、表面の煤が取り除かれ、水彩でも油絵でも、見事に再生された。
NASAの研究者たちは、他の用途への応用も考えているらしい。
この劇的な効果を、ぜひ このページで見て欲しい。
いわゆる酸素というのは、通常酸素原子がふたつつながったO2という分子として存在している。ところが地上200から500マイル(320から800 km)上空では、太陽光による強力な紫外線照射により、酸素分子が光分解を受けて、原子酸素(酸素ラジカル)が生じる。
In the upper atmosphere, between 200 and 500 miles above Earth, intense ultraviolet radiation from the sun photolytically cleaves O2 into atomic oxygen.
この原子酸素は非常に反応性が高く、人工衛星や宇宙ステーションの外側の物質を傷めてしまう可能性がある。ClevelandのNASA's Glenn Research Centerというところの科学者が、真空中、無線電場(?)を用いて、地上でこの状態を人工的に作り出し、それに耐え得る物質を調べていたところ、この原子酸素が、人工衛星の材料の表面から、有機物質を除去する作用があることを見つけた。これはNASAにとっては悪いニュースだったが、このことを、同じくClevelandにあるMuseum of Artの職員と話した後、これが火災などの煙でダメージを受けた美術作品の再生につかえるかも知れないと気がついた。そういった作品は、これまで知られている方法では再生不可能なのだった。
The researchers were using the chamber to test the durability of some satellite materials when they discovered that the treatment could remove organic materials from the surface of objects. This was bad news for some of the coatings that NASA was developing. However, after speaking with Bruce Christman, chief conservator at the Cleveland Museum of Art, they learned that the atomic oxygen technology might be able to restore smoke-damaged paintings, which can be resistant to traditional restoration methods.
実際、彼らは火災で煤まみれになり、これまでどんな方法でも再生不可能だった絵画をたくさん保有しており、それらはすごい価値のものでもなかったので、失うものはないということで、この原子酸素による方法を試してみることにした。
All previous attempts at restoration had failed, and because the paintings were only minor works of little monetary value, conservators believed that there was little to lose by trying out the NASA technique.
するとどうだろう、この酸素処理はとんでもなくうまくいった。酸素ラジカルが、絵の表面についた煤(炭素)を、1酸化炭素または2酸化炭素に変換して、きれいに取り除いてくれたのだ。完全な気相処理なので、絵画には一切触れることなく、表面の煤が取り除かれ、水彩でも油絵でも、見事に再生された。
To everyone’s delight, the oxygen treatment worked spectacularly. The oxygen radicals converted the carbonaceous soot and char on the paintings’ surfaces into volatile compounds such as carbon monoxide and carbon dioxide.
NASAの研究者たちは、他の用途への応用も考えているらしい。
この劇的な効果を、ぜひ このページで見て欲しい。
by a-pot
| 2005-02-20 09:57
| 科学一般