2004年 12月 28日
タンパク質リン酸化の新しい展開 |
突然バイオの話題。Johns Hopkins University医学部のグループで、diphosphonoinositol pentakisphosphate(ジホスホノイノシトール7リン酸)またの呼び名をIP7という物質が、タンパク質のリン酸化のリン酸源になっていることがわかったらしい [Science, 306, 2101 (2004)]。マウスの細胞抽出物を32PでラベルしたIP7と混ぜたところ、ラベルされたリン酸基がタンパク質に移ったのが確認されたという、まだ試験管レベルの話なので、実際に生きた細胞内でも同じことが起こっているかどうかは現在確認中らしい。でもタンパク質のリン酸化源は、これまでずっとATPのみだと考えられてきたので、本当だとすればけっこうな大発見だ。今までに全く知られていない細胞内情報伝達経路が見つかる可能性もある。問題は、実験に必要な32PラベルしたIP7をたくさん作るのが難しいことで、これについてユタ大学と共同で検討中とのこと。ニュースソースはこれ。確かにIP7は、その前駆体が6個のリン酸基を持っていて、そのうちの特定のひとつだけに、もうひとつの(ラベルした)リン酸基をつなげなければならないので、酵素以外にはなかなか大変そうだ。
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by a-pot
| 2004-12-28 11:09
| 医薬、バイオ関連